肝疾患死亡率、沖縄が全国最悪 糖尿病なども高く


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 年齢による人口差を加味した上で人口10万人当たりの死亡率を示す「年齢調整死亡率」について、厚生労働省がまとめた2015年の値の結果、沖縄はアルコールの多量摂取や肥満が要因となる「肝疾患」の死亡率が男女共に全国で最も高いことが明らかになった。糖尿病の死亡率も前回調査の10年と比較して男女共に順位を落とし、女性は全国ワーストとなった。生活習慣病に詳しい専門家は「特に64歳以下の働き盛りの世代の健康意識が低い」と指摘している。

 肝疾患は慢性的に進行する病気で、進行した結果、肝硬変になって肝機能が悪くなることもある。特に県内の男性では通常飲む飲酒量が全国の2倍に上るなど、アルコールに起因する発症が多い。

 15年の値によると、肝疾患死亡率は男性は18・7、女性は6となった。10年の調査よりも男女共に数値が悪化した上、全国と比較しても男性は8・9ポイント、女性は2・5ポイント高かった。

糖尿病は男女共に10年よりも数値が改善しているが、全国の改善幅よりも鈍いことがうかがえる。また、男性では自殺の死亡率も全国で3位と深刻で、全国の男性よりも5・6ポイント高かった。

 一方で、実際に死亡した数から人口を割った「粗死亡率」は男女共に全国で一番低かった。厚労省の担当者は、沖縄では年代間で死亡率にばらつきが出ている可能性を指摘した。

 生活習慣病に詳しい那覇市の首里城下町クリニックの田名毅院長は、年を取るにつれて病院を受診したり、病気に対処したりする意識が高まっていることに触れ「働き盛りの世代の壮年期と、シニア世代で2層に分かれている印象を受ける」と指摘。「年に一度は健診を受けて、血糖や血圧、コレステロールなどの生活習慣病に関する値をよくしようという意識を若いうちから高めることが必要だ」と述べた。(池田哲平)