米軍 報告書を黒塗り 調査結果や勧告 うるま沖ヘリ墜落


この記事を書いた人 大森 茂夫

 琉球新報は19日までに、2015年8月にうるま市沖の米海軍艦船に米陸軍特殊作戦用MH60ヘリが墜落した事故の米軍報告書197ページ全文を入手した。米軍の調査結果やそれに対する勧告、事故調査委員会(事故調)の分析、機長ら乗組員らの証言、機体残骸の様子など、事故の真相を知るために必要な情報のほとんど全てが分からないように「黒塗り」にされている。当時実施していた特殊作戦訓練の内容についても全てが不開示だった。米軍の情報開示に対する消極姿勢に批判が集まるのは必至だ。

詳細部分が黒塗りされて公表された米軍の事故報告書

 04年の米軍ヘリ沖国大墜落事故で、イラク戦争への派遣に備えるため整備兵が無理な長時間勤務を強いられていた実態が盛り込まれた事故報告書とは、開示姿勢が全く異なる。

 防衛省が18日、本紙取材に対し報告書を公表した。同省によると、「黒塗り」は米側が情報公開用に施した報告書を日本側に提供したという。事故後の「勧告」も全て黒塗りだが、日本政府が17日に報告書の概要を公表した際に説明した再発防止策については、報告書を受けて日本側が米軍側に問い合わせてまとめた。

 報告書は「米陸軍機事故の技術的報告書」で文中では事故を「墜落」と表現している。(1)事故概要(2)事故調(3)事故前後の状況説明と事故調の分析(4)乗組員証言(5)事故直後の艦上分析結果(6)個人データ(7)けがの具合-などで構成する。

 「調査結果」は七つに分かれて報告しているが全て黒塗り。それに対応する「勧告」も表題以外全て不開示。事故機のヘリとしての一般的な性能や当日どのような飛行をして事故を起こしたかの経緯は読めるようになっているが、それを受けた事故調の「分析」となるとまた黒塗りだ。

 訓練の内容に関連して、米陸軍特殊作戦航空司令部の訓練プログラムの乗員マニュアルも添付されているが、全て黒塗りされている。事故機には陸上自衛隊中央即応集団(神奈川)所属の隊員2人も「研修」名目で同乗していたが、2人を含め機長や乗組員らの名前も伏せられている。

 事故概要では「艦船の甲板に強制的に着陸し、機体はかなりの損傷を受けた」と説明、最も重大な「クラスA」と分類した。「4人の乗組員と3人の搭乗者が負傷した」と説明している。

 事故調の勧告は16年9月27日付で、米陸軍特殊作戦司令部の司令官がサインし承認した。日本政府によると、日本側には17年4月に提供された。一般には8月17日に概要が公表された。(滝本匠、仲村良太)