沖縄の郷土料理「チーイリチャー」復活へ 八重山、原料出荷再開


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
豚の血が原材料のチーイリチャー。ご飯の上にのせたメニューも人気がある

 沖縄の郷土料理「チーイリチャー」の原材料となる豚の血の出荷を県北部食肉協業組合(名護市食肉センター)が4月12日から停止している件で、食肉センターが年内をめどに出荷再開に向け取り組んでいることが21日、分かった。再開後の当面の血の出荷量は半分以下に減る見込みだ。一方、八重山食肉センターは21日、県八重山保健所の行政指導を受け、6月から停止していた豚やヤギの血の出荷を再開した。両センター共に、作業工程を見直した。「チーイリチャー」が再び食卓に並ぶ日も近い。

 両食肉センターは、これまで国が定める基準「と畜場法施行規則」などで定められた基準に基づき、血の採取を行ってきたが、その基準を満たしていないことが判明し、出荷を停止していた。

 八重山食肉センターは、同規則に沿うよう、温度管理徹底のため血液専用の保管庫を設け、庫内に専用冷蔵庫を設置。と畜する豚・ヤギの剃毛とアルコール消毒を処理手順に加えた。保健所が14日付で再開を認める通知を出した。センターは「出荷再開で八重山の食文化の材料を確保できるようになり良かった」と語った。

 一方、本島内で唯一豚の血を卸している名護市食肉センターは、県の指導を受けながら政府も推奨している食の安全基準「HACCP(ハサップ)」を基に新しい計画を作成している。

 新計画では各工程の温度測定など、作業が以前よりも増えることから、1日に採取できる血の量が限られ、出荷量はこれまでの半分から3分の1に減る見込みだ。

 名護市食肉センターの上原守理事長は「食文化を守るため、現状においてできる手段で出荷を目指す」と話す。(友寄開)