摩文仁の山積ごみ、1月に撤去へ 県がボランティア募集


この記事を書いた人 大森 茂夫
プラスチック容器やガラス瓶、弁当箱など、何十年にもわたり不法投棄されてきたとみられるごみの山=5月、糸満市摩文仁

 糸満市摩文仁の国立沖縄戦没者墓苑裏の崖下斜面一帯に不法投棄ごみが山積している問題で、県がボランティアを募り、来年1月にも回収作業に着手する方針だ。行政主導で回収作業が行われるのは初めて。県環境部は今月中に計画案を作成し、年内にも詳細を決定する。本年度は予算は付かないが、翁長雄志知事が問題の早期解決に向け糸満市と連携・協力する姿勢を示しており、前進が期待される。

 不法投棄の現場は東西約500メートルに及ぶ。整備の行き届いた墓苑の目と鼻の先だが、日が当たらず急斜面で、60年代後半ごろのものとみられる空き瓶や、弁当箱などのプラスチック容器、廃タイヤなど無数のごみが層を成し、一帯を埋め尽くしている。

 膨大な撤去費用がかかることや、足場が悪く危険な現場であること、不法投棄の行為者が特定できないことなどから、県や糸満市は現状を把握しつつも、なかなか回収に着手できていなかった。

 5月の本紙報道を受け、県と糸満市の職員が現場視察と協議を重ねた上で、本年度は遺骨収集ボランティアなどの協力を得ながら回収作業に当たることなどを確認した。

 県環境整備課の松田了課長はこれまでボランティア団体や県平和祈念財団などからたびたび協力依頼があったとし「まだ最終決定ではないが、来年度の予算化も含め検討しながら調整を進めている。関係機関と連携して取り組みたい」と述べた。

 長年、遺骨収集と清掃作業に取り組んできた沖縄鍾乳洞協会の松永光雄理事は「民間での作業には限界があった。ぜひ協力したいが、やるからには表面的なものにならないようにしてほしい」と要望した。(当銘千絵)