地権者大半、提供に同意 来月にも正式契約 宮古島の陸自配備 千代田ゴルフ場


この記事を書いた人 大森 茂夫
ゴルフ場「千代田カントリークラブ」=2月、宮古島市上野野原

 【宮古島】宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、駐屯地建設が計画される市上野野原のゴルフ場「千代田カントリークラブ」(下地藤康社長)の地権者の大半が、土地の提供を認める文書を防衛省と交わしていたことが25日までに、各地権者への取材で分かった。ただ一部の地権者は意向を明かしていない。同省は土地取得費を公表していないが、地権者らの話を総合すると用地購入費の総額は8億円前後とみられる。地権者の一人は売買ではなく借地契約を結ぶ方針。同省は10月にも正式な売買・借地契約を結ぶとみられる。

 「千代田―」の面積は約22ヘクタール。土地の約9割は県外に住む下地社長の親戚が所有する。同ゴルフ場は資金繰りが悪化したため2014年5月に銀行と宮古島税務署に土地が差し押さえられた。その際に親戚が債権を肩代わりし、担保として土地所有権を取得したとみられる。同社は今年8月末に土地の国有化に同意する文書を防衛省と交わした。ゴルフ場は今月24日に閉場した。

 周辺に住む他の地権者らは「本来は静かな環境が望ましいけど、うちだけ反対してもしようがない」などと消極的ながらも土地の提供に同意した。ただある地権者の関係者は親族間で意見が割れているとして「ノーコメント」とした。

 一方、地権者らによると防衛省が提示した土地取得費は一坪1万2千円台。地権者の1人は「安すぎる」として売買ではなく借地契約を国と交わすことで合意した。国土交通省が公表した今年1月1日時点の公示地価では、近隣の市上野野原の住宅地は一坪1万5千円台の評価だった。

 千代田への候補地選定を巡っては下地敏彦市長が、防衛省に対し千代田の活用について意見したことを市議会で答弁している。同省の宮古関連の18年度概算要求は計260億円で、千代田への駐屯地整備に93億2千万円、宿舎整備に49億8千万円、場所未定の弾薬庫整備費に117億円を計上している。(梅田正覚)