米軍、機体撤去始める 東村議会が抗議決議 高江米軍ヘリ炎上


この記事を書いた人 大森 茂夫
機体の一部を切り離し、つるし上げる米兵ら=17日午後5時14分、東村高江(新里圭蔵撮影)

 米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eが東村高江で不時着し、炎上した事故で、米軍は17日、機体の解体撤去作業を始めた。県警は、捜査員が初めて内周規制線内に立ち入り、米軍側から説明を受けたが、実質的な捜査に着手できていない。撤去作業が進めば日本側による原因究明は困難になる。内周規制線内に捜査のため入ることはこれまで米側が認めておらず、日米地位協定が再び壁になった。東、国頭、大宜味の3村と宜野湾市は、事故に対する抗議決議を可決した。

 県は内周規制線内に初めて立ち入り、沖縄防衛局と共に放射線調査をしたが、土壌の採取はできなかった。12日に東村の高江小学校などで実施した放射線調査の結果について「異常なし」だったと発表した。

 米軍は午前10時すぎ、大破した機体に車両2台を横付けし作業を始めた。午後2時すぎ、クレーンでエンジンとみられる部品をつり上げ移動させるなど作業を本格化。防護服やマスクを着けた米兵が電動のこぎりで機体を切断するなどした。解体した機体を18日にも運び出す可能性がある。

 県警は午後1時すぎ、内周規制内に入り、事故機のそばで捜査員が米軍からの説明を受けた。だが、立ち入りは約50分だけで、実質的な捜査はできていない。

 東村議会(安和敏幸議長)は臨時会を開き、抗議決議と意見書を全会一致で可決した。決議で「満身の怒りをもって抗議する」とし、(1)事故原因の徹底究明と解明までのCH53Eの飛行中止(2)CH53Eの配備即時撤回(3)被害農家への補償、原状回復(4)米軍北部訓練場のヘリ着陸帯使用禁止(5)日米地位協定の抜本的見直し-などを求めた。国頭村議会は、世界自然遺産登録への影響が危惧されることや、水源地上空での飛行禁止を求めることを盛り込んだ。