沖縄の大手産廃 県が許可取り消し方針 不法投棄の疑い、処理能力に影響か


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
産業廃棄物が積み上げられてできた「ごみ山」(後方)=11日、沖縄市池原

 沖縄県の沖縄市池原にある県内大手の産業廃棄物処分業者「倉敷環境」が系列会社の敷地内にごみを不法投棄した疑いがあるとして、県が同社に対し廃棄物処理法に基づく産業廃棄物処分業の許可を今月中にも取り消す方針を固めたことが11日、分かった。

 県は組織的な隠蔽(いんぺい)行為があったとみている。許可の取り消しで営業は続けられなくなる見通し。本島内の管理型最終処分場は現在、同社を含む民間3カ所しかなく、満杯状況にある。同社が営業できなくなれば、県外搬出を余儀なくされ、処理費の高騰など県内の産廃処理に大きな影響が出そうだ。

 同社の社長は本紙取材に系列会社の敷地内にごみを保管したことを認めた上で「あくまでも県外に搬出するための一時的な仮置きだった」と述べ、不法投棄とする県の指摘を否定した。

 県によると、同社は2015年ごろからごみ山の一部をフレコンバッグ(トン袋)に詰め、約800メートル離れた市登川にある系列会社の環境ソリューションの敷地内のくぼ地に置いていた。フレコンバッグの一部は経年劣化のため破れていたほか、袋の上には土がかぶせられていた。県は昨年8月の現場確認以降、内部調査や聞き取りなどを続けてきた。

 倉敷環境の社長は約4万個のフレコンバッグを環境ソリューションに3、4年保管した事実を認めているが、あくまで「一時的な仮置き場」だったと強調した。すでに全て県外へ搬出したとしている。覆土についても「重機をそのまま載せたらフレコンバッグが破れるため、シートや土をかぶせた」と説明し、隠蔽目的であることを否定した。

 産業廃棄物処分業の許可取り消し処分を含め、今後の対応については「法的なことは弁護士と相談しながら検討する」とした。

 倉敷環境は不法投棄を摘発された会社の施設や業務を引き継ぐ形で、2000年に創業した。県内の管理型最終処分場の容量が逼迫(ひっぱく)したことなどを背景に廃棄物がたまるようになり、高さ数十メートルに及ぶ「ごみ山」の解消が慢性的な課題となっていた。同社周辺の地下水からは環境基準値を大幅に超えるヒ素などの有害物質が度々検出され、健康被害や風評被害を懸念する周辺住民や農家からも早急な対策が求められていた。