屋根飛び ガラス散乱 糸満・摩文仁 突風、平和の地無残


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突風で全壊したプレハブ小屋。清掃用具などが辺り一面に散乱していた=18日午前11時58分、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 【糸満】糸満市摩文仁で17日夜に発生した突風は、平和祈念公園内の木々をなぎ倒し、県平和祈念資料館のガラスを損壊させるなど、閉園・閉館せざるを得ないほどの爪痕を残した。

 平和祈念公園では18日、朝から職員らが園内の被害状況を確認して回った。平和の礎周辺には、幹の部分から折られたような倒木が散乱して通路をふさいでいた。大きな鉄片もあちらこちらに転がり、木の上にはブルーシートが引っかかっていた。

 礎周辺を整備するための芝刈り機などを保管していたプレハブ小屋は、屋根が約30メートル先まで吹き飛ばされ、木に巻き付いてギシギシ音を立てながら揺れていた。礎からわずか40メートルの所に屋根は吹き飛ばされていた。プレハブ小屋は一部の土台とコンクリートの壁だけが残り、ひしゃげた草刈り機などが周辺に散らばっていた。

 平和祈念公園を管理している県平和祈念財団の上原兼治事務局長は「あまりのひどさに、言葉が出ない」と肩を落とした。「(礎に刻銘された)戦没者の名前に傷が付いていないか心配だ」と話した。

 県平和祈念資料館では、太平洋側に面した2階の大きな窓ガラスが、建物そばの地面にたたきつけられ、粉々に割れ落ちていた。横5メートル、縦3メートル、厚さが3センチある特注品のガラスで、海側に向かって約30メートルほど先まで破片が飛散していた。館内ではそのほかにも、出入り口のガラス扉が1枚破損した。館内の展示物に被害はない。同資料館の新垣浩昭総務班長は「資料館ができてから17年間、どんなに強い台風にも耐えてきたのに…」と驚いた様子。一方で「館内に人がいる時間帯に発生しなくてよかった。けが人がいないことは不幸中の幸いだ」と話し、大きく息をついた。

約30メートル先まで吹き飛ばされた、プレハブ小屋の屋根。木に巻き付くように残っていた
平和祈念資料館の2階のガラスが割れ落ち、20~30メートルの範囲で飛散した=18日、糸満市の平和祈念公園