小さな島「まさか」「もう通らないで」 米軍ヘリ不時着の渡名喜住民、不安訴え


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
2010年12月に渡名喜村のヘリポートに緊急着陸した米軍嘉手納基地所属のヘリ

 大きな低い音が平穏な島の夜を切り裂いた。23日午後8時ごろ、沖縄県渡名喜村の村営ヘリポートに米軍普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリコプター1機が不時着した。県内の米軍機の不時着は、今年に入ってすでにうるま市伊計島、読谷村に続き3度目となる。渡名喜村の住民は「本島で不時着が相次いでいたから不安があったが、まさか渡名喜島で」「こんな小さな島だから民家に落ちていたかも」「島の上空を通らないでほしい」と不安を訴えた。

 普段から訓練で米軍機が自宅上空を通るという桃原恵美子さん(84)は、不時着があった時間帯に聞いた米軍機の飛行音について「いつもの音と違っていた。上空から大きな低い音がした。なぜこんなに大きい音なのか、と思っていた」と話す。沖縄本島で不時着が相次ぎ不安があったといい「どうか村の上空を通らないように村から要請してほしい」と強く訴えた。

 同様に、ヘリが旋回する音を聞いていたという農業の女性(71)は「大変なことが起きた。沖縄本島に米軍ヘリが不時着したニュースは見ていたが、まさか渡名喜島でも起きるとは」と声を震わせた。

 団体職員の比嘉光徳さん(25)は「今回はヘリポートに着陸したが、小さな島だから最悪、民家に降りてくることがなくはない。そういうのは怖い」と話した。これまで基地の問題を実感することが少なかったという比嘉さんは、今回の不時着で意識を変えた。「人ごとじゃないのだと思う。米軍基地は近くにある、身近な問題なんだ」と語った。

 「自衛隊の訓練かと思った」と話す女性(79)も。女性によると、自衛隊が訓練で渡名喜村周辺を旋回することがあるためだ。女性は「不安だ。もう二度とこのようなことがないようにしてほしい」と言葉少なに語った。

 米軍機が不時着したヘリポートは、ドクターヘリが急患を運ぶために救急搬送で発着するため村が整備した。現場に駆け付けた渡名喜村漁業協同組合代表理事の上原睦夫さん(63)は「本来、救急搬送で使用するヘリポートに米軍ヘリが着陸していた。あってはならないことだ」と憤る。これまでも米軍ヘリの訓練を見てきた上原さんは「こういうことが起きるんじゃないかと危惧はしていた。抗議するのは当然だ」と話した。