続く「カメジロー旋風」 新刊本、売り上げ好調


この記事を書いた人 大森 茂夫

 米統治下で圧政と闘った瀬長亀次郎さん(1907~2001年)を描いたドキュメンタリー映画のヒットに続き、瀬長さん関連の書籍が売れている。県内の書店は新刊「『米軍(アメリカ)が恐れた不屈の男』瀬長亀次郎の生涯」(講談社)の特別コーナーを設け、売り上げ上位にランクイン。「カメジロー旋風(せんぷう)」はまだまだ続きそうだ。

新刊「『米軍が恐れた不屈の男』瀬長亀次郎の生涯」の特設コーナー。売れ行きは好調だ=13日、那覇市牧志のジュンク堂書店那覇店

 昨年8月、那覇市の桜坂劇場で映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の公開が始まった。TBSの佐古忠彦さん(53)が初めて監督を務め、異例のロングランを続けている。

 書籍「-瀬長亀次郎の生涯」も佐古さんの著書で、今月6日から県内の書店に並び始めた。

 ジュンク堂書店那覇店は170冊を入荷し、1週間で40冊余りが売れた。森本浩平店長(43)は「ペースが早い。映画の関連本だが、しっかりした内容だ」と太鼓判を押す。同店の売り上げランキング(4~10日)では総合2位。18日午後5時から、佐古さんのトーク&サイン会を開く。

 リブロリウボウブックセンター店も「50代以上を中心に幅広い層が手に取っている。追加発注した」。球陽堂書房サンエー那覇メインプレイス店は入り口でフェアを展開。「順調に売れている」としている。

 版元によると初版は4千部で、既に重版が決定。反響の大きさに佐古さんは「県民の心に亀次郎さんが生き続けている、と感じる。本土の人も広く手に取ってほしい」と言う。

 昨年11月には、生前の瀬長さんが著した新書「沖縄からの報告」(岩波書店)が「アンコール復刊」した。初版は1959年で、増刷は日本復帰の72年以来、実に45年ぶりだ。1300部刷って、1月末時点で在庫は約300部となっている。

 岩波書店の編集部は「アンコール復刊の中でも非常に好評の1冊。当時の沖縄の空気や時代状況が分かり、今読んでも非常に価値がある」としている。59年の初版以来、累計販売数は約13万部に上るという。(真崎裕史)

 

「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯
佐古 忠彦
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沖縄からの報告 (岩波新書)
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