沖縄の大手スーパー・サンエーが閉店時間を早めるワケ


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 サンエー(宜野湾市、上地哲誠社長)は21日から、食品館全店で営業を1時間短縮し、閉店時間を午後11時に一斉に早める。小売業界では遅くまで店舗が開いていることを顧客サービスと考える風潮が強いが、サンエーはピーク時間帯の人員を手厚くしてサービス向上につなげるという路線の下、労働環境改善の対応も進める。「従来に比べ遅い時間帯の購買は弱くなっている印象がある」(同社経営企画部)として、売り上げへの影響は小さいとの見方を示す。

深夜営業時間を短縮し、午後11時閉店へ一斉に移行するサンエーの食品館=16日、那覇市のサンエーV21食品館真嘉比店

 全国的にはファミリーレストランやファストフード店で24時間営業をやめるなど、人手確保の難しさから従来のサービス内容を見直す動きが出ている。深刻な人手不足や働き方改革への対応を抱える中で、県内スーパー最大手の営業時間見直しの動きが、業界にどのような影響をもたらすか注目される。

◇段階的に短縮

 サンエーは2014年9月に食品館の閉店時間を午前1時から午前0時に変更し、15年10月には那覇メインプレイスなどの大型ショッピングセンターの閉店時間を午前0時から午後11時へと早めてきた。21日からの食品館44店舗、ドラッグストアのマツモトキヨシ6店舗の閉店時間変更により、サンエー全店舗で午後11時閉店となる。

 段階的な深夜営業の短縮についてサンエー経営企画部の山川広大さんは「人手不足の中で、限られた人員を最大限に活用しなければならない。閉店時間を早めることで現在の遅い時間帯の勤務人員を前倒しして充てることができ、ピーク時間帯の人員体制を手厚くしていく」と説明する。

 短縮する時間帯の購買動向については「働く女性が増えたことなどで仕事帰りの夕方から夜にかけて来店が集中し、逆に夜の外出は減っている傾向がある。買い物客のニーズの変化に営業時間も合わせていく」と述べ「需要が高い時間帯にしっかりと人を充ててサービス強化につなげれば、深夜の営業を短縮した分の売り上げはカバーできると考える」と指摘した。

◇他社は様子見

 県内の主なスーパーではイオン琉球が展開するマックスバリュは県内28店舗のうち26店舗で24時間営業をしている。リウボウストアやタウンプラザかねひでは午前0~1時閉店が多い。サンエーの見直しの動きを各社とも注視しつつ、連動して閉店時間を一斉に早める動きは出ていない。

 イオン琉球の末吉康敏会長は「24時間営業をやめると利用している地域の人が困る部分も出てくる。引き続きニーズに応えていく必要がある」と述べた。

 一方、リウボウストアでは店舗改装などの機会を捉え、店舗ごとに閉店時間を早める対応を取ってきた。担当者は「従業員に負担をお願いしている面もあり、各店舗の利用状況を見ながら検討を続けていく」と語った。(与那嶺松一郎)