IoTで保育効率化 豊見城・浦添が実証実験 簡易検温、登園・退園アプリで管理


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保育現場でのIoT活用をPRする(左から)KidsDiaryのスタンリー・ン・イエンハオ社長、松本哲治浦添市長、宜保晴毅豊見城市長、沖創工東京支店の西銘剛支店長=27日、浦添市役所

 IoT技術を活用して保育士の業務負担軽減を図る国の実証実験が昨年11月から今年2月まで浦添市と豊見城市で実施され、データの転記や記帳の手間が省かれ業務効率化が証明された一方、実用化に向けて職員の情報通信技術(ICT)教育やハード面の環境整備などに課題が残ることが分かった。国は今後、実証実験の結果を踏まえ、可能な限り事務の統一化と標準化に向けた検討を進める予定だ。

 松本哲治浦添市長、宜保晴毅豊見城市長、IT事業者キッズダイアリーのスタンリー・ン・イエンハオ社長、沖創工の西銘剛東京支店長が27日、浦添市役所で共同記者会見を開き報告した。

 実験では、額にかざすだけで検温が可能なスマート体温計や専用のアプリを用い、園児の登園や退園、健康状態を管理した。把握した情報は自治体に報告するため、自治体ごとの書式に転記するなどの必要があった。保育所だけでなく自治体も同じデータを把握できるシステムを用い、データを共有することで保育所と自治体双方の負担軽減ができた。

 実証実験は保育所と保護者、保育所を持つ自治体の3者が園児の情報を共有し、待機児童解消の障害となる保育士不足に対応するため、経済産業省を中心に取り組む事業の一環。全国10市区で実施された。自治体と保育所間でデータの転記が必要ないプラットフォーム(基盤)の構築を目指している。

 宜保市長は「労働環境整備は、保育士不足の解消につながる。今後も自治体や国と連携を取り続けてほしい」と訴えた。松本市長は「待機児童問題の解消後も、ICTで業務の見直しを続けていく必要がある」と述べた。