予期せぬ妊娠、孤立防ぐ 女性の支援事例紹介 那覇でシンポ 子ども未来ネット


社会
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思いがけない妊娠の相談支援について語る「にんしんSOS東京」の中島かおりさん=17日、那覇市

 思いがけない妊娠に悩む女性の相談を受け、養育が困難な場合は子どもを特別養子縁組につなげる団体「おきなわ子ども未来ネットワーク」(山内優子代表理事)の設立を記念した講演会とシンポジウムが17日、那覇市上下水道局みずプラッサで開かれた。予期せぬ妊娠の相談支援を行う一般社団法人「にんしんSOS東京」代表理事の中島かおりさんが、妊娠を家族や友人に相談できずに孤立してしまう女性の実情や早期支援につなげる取り組みを紹介した。

 「にんしんSOS東京」では365日、24時間、メールやLINE(ライン)などで妊娠に関する相談を受け付け、医師や助産師、社会福祉士などの専門家が対応している。設立した2015年以降、相談者数は1175人に上るという。

 中島さんは実際の支援事例を紹介しながら、SNS(会員制交流サイト)での拡散を恐れて妊娠を誰にも相談できずに悩みを抱え込んでしまう女性が多いと指摘。「相談者の匿名性が守られ、産む・産まないに関わらず安心して相談できる環境が必要だ」と語った。現在の国の支援制度では把握が難しい母子手帳未交付や医療機関未受診の「ハイリスク妊婦」と早期につながり、継続的な支援に結びつける必要性も訴えた。

 シンポジウムでは「10代の妊娠を考える」をテーマに各分野の専門家3人が報告し、予期せぬ妊娠・出産で悩む女性や生まれた子どもの命を守るために何ができるのかを話し合った。フリーライターの山城紀子さん、沖縄大学助教の砂川恵子さん、県助産師会会長の桑江喜代子さんが登壇した。10代の妊娠・出産の割合が全国の2倍に上る沖縄で、望まない妊娠を防ぐための性教育の必要性や支援者の価値観を押し付けない支援のあり方などについて意見を交わした。