上海便、待機従わず滑走開始 那覇空港で重大インシデント


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 国土交通省は19日、那覇空港で18日午後、着陸した航空機が滑走路から完全に退避していないにもかかわらず、上海行きの上海吉祥航空1332便エアバスA320(乗客乗員115人)が滑走を始めたと発表した。国交省は事故につながりかねない「重大インシデント」と認定した。両機共にけが人はいない。運輸安全委員会は19日、原因調査のため航空事故調査官4人を那覇空港に派遣した。

 国交省によると、18日午後6時42分ごろ、離陸のため滑走路に出た上海吉祥航空機が、直前に着陸した海上保安庁の航空機が約2キロ先で滑走路から誘導路へ外れる途中だったにもかかわらず滑走を開始し、約1分後に離陸した。管制官は上海吉祥航空機に対して滑走路上での待機を指示していた。機体の接触や急ブレーキはなかった。

 国交省は航空法施行規則で定められている「他の航空機が使用中の滑走路からの離陸」に当たると判断した。上海吉祥航空の日本支店によると、本社からのコメント発表予定などは確認できていないという。

 那覇空港で過去に重大インシデントと認定されたケースは、2015年6月に離陸滑走中の全日空(ANA)機の前方上空を空自ヘリが横切って飛行し、ANA機が離陸を中止。その直後に着陸許可を得ていた日本トランスオーシャン航空(JTA)機が着陸し、ANA機の後方約570メートルで止まった事例がある。