重なる 鎮魂の旋律 野田校長ひ孫ら演奏会 ひめゆり平和祈念資料館


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
温かい音色を披露する「天色カルテット」の(左から)野田笑加さん、加納あゆりさん、田中美恵子さん、林浩三さん=26日、糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館

 【糸満】沖縄戦で亡くなった学徒や教師らを慰め平和への思いを伝えようと、沖縄師範学校校長として命を落とした野田貞雄さん(享年54)のひ孫・野田笑加(えみか)さん(16)=長野県=らが26日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館で「弦楽四重奏ひめゆりレクイエムコンサート」を開いた。「故郷」などひめゆり学徒隊と関わりの深い曲など5曲を演奏した。弦楽器の温かな音色が響き渡り、聴き入っていた元学徒らの中には涙を浮かべる人もいた。

 幼少期からピアノとバイオリンを習っていた笑加さん。小学5年のときに母親と同資料館を訪れた際、自分に何ができるのかを考え「別れの曲(うた)」などをバイオリンで演奏した。その後も交流を続け、今回は念願の再公演となった。

 今回のコンサートのために、笑加さんは所属する「軽井沢ファミリーオーケストラ」の団長・林浩三さん(51)、指導者の田中美恵子さん(49)、団員の加納あゆりさん(20)と「天色(あまいろ)カルテット」を結成。笑加さんの兄・峰丘(ほたか)さん(19)もピアノ演奏で参加した。

 笑加さんは「最近、戦争を身近に感じられるようになっている。平和がずっと続いてほしいという気持ちを込めた」と真剣な表情で語った。峰丘さんは「若い人ができることは限られている。曽祖父を沖縄で亡くした僕は、これからも沖縄戦を伝えていきたい」と話した。