“元祖”沖縄そば再現 110年ぶり、商品化へ


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沖縄そば継承発展の会が再現した観海楼の「唐人そば」

 沖縄県内の沖縄そば店店主らでつくる「沖縄そば継承発展の会」(野崎真志会長)は15日、初めての沖縄そば屋とされる「観海楼」のメニュー「唐人そば」を約110年ぶりに再現した。関係資料に基づき、約10カ月の試行錯誤を経て再現した味をそばじょーぐー(そば好き)ら約90人が試食した。同会は「唐人そば」を賛同する会員の各店舗で6月にも商品化し、沖縄そばのルーツを味わえる新たな“ご当地グルメ”として売り出し、観光の目玉の一つにしていきたい考えだ。

 初の沖縄そば屋とされる観海楼は、1902年4月の琉球新報広告で「那覇市警察署下り」に「支那そばや」が開業したと紹介された。これが最も古い沖縄そば屋の記述とされ、同店は約6年間営業したという。

沖縄そばのルーツとなった110年前の味を再現した「唐人そば」を試食し、笑顔を見せる親子=15日、那覇市西の県男女共同参画センターてぃるる

 サン食品が歴史研究者らの協力を得て、1982年にまとめた沖縄そばの調査報告書によると「唐人そば」は「しょうゆ味の黒いスープで、(具は)ネギと豆粒大の豚肉」だったという。

 再現では、スープは沖縄そばの風味を残し、しょうゆラーメン風にはならないように注意した。かつお節は県内では1903年に製造が始まったという資料があるため、今回かつお節は使わなかった。

 麺は沖縄生麺協同組合と沖縄製粉、県工業技術センターが開発した伝統的な「木灰そば」の製法を活用し軟らかく、もちもちした食感に仕上げた。

 試食した仲盛鏡佑子(きょうこ)さん(62)=那覇市=は「黒い見た目に最初はびっくりした。しょうゆ味が濃いのかと思ったが、だしもしっかり出ていて驚いた。いつも食べる細麺より太く、こしがある」と笑顔を見せた。

 沖縄そば継承発展の会の野崎会長は「しょうゆ(の味の調整)が難しかった。(県外からも)唐人そばを食べに沖縄に来るぐらいのご当地グルメになればと思う」と意欲を見せた。