キングス痛いミス BリーグCS準決勝第1戦


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琉球―千葉 第3Q、ドリブルで守備をかわし気迫のこもったプレーで鼓舞する琉球の岸本隆一=19日午後、千葉県の船橋アリーナ(大城直也撮影)

 バスケットボール男子のBリーグ王者を決めるプレーオフのチャンピオンシップ(CS)は19日、準決勝(2戦先勝方式)第1戦を行い、西地区覇者の琉球ゴールデンキングスは千葉県の船橋市総合体育館(船橋アリーナ)で東地区1位の千葉ジェッツと対戦し、61―74で敗れた。第4クオーター(Q)に岸本隆一やアイラ・ブラウンの3点弾などで反撃したが、届かなかった。千葉は司令塔の富樫が11得点、9アシストと攻撃を引っ張り、エドワーズが26点を奪った。もう1試合は、東地区2位のA東京が延長の末、リーグ最高勝率で中地区を制した三河を69―65で破った。A東京は第4Q終盤に安藤の3点シュートで61―61と追い付き、延長では田中が攻撃をけん引して競り勝った。20日に同一カードで準決勝第2戦を行う。2戦先勝方式で、1勝1敗となった場合は、前後半5分ずつの第3戦を行い、勝敗を決める。

▽準決勝第1戦
(船橋市総合体育館、5027人)
千葉(東地区1位)1勝
74―61(15―12,15―10,29―20,15―19)
キングス(西地区1位)1敗

 【評】第1Qのキングスは攻撃でやや単発な場面はあったものの、持ち前の粘り強い堅守を貫き、リードされつつも我慢の展開を維持した。しかし、第3Qで息の合わないミスで千葉を勢いに乗せてしまい差を広げられた。終盤は攻撃は立て直したが、追い付けずに第1戦を落とした。

◆ミスから差広げられた
 佐々宜央HC(キングス)の話 出だしが単発で入ってしまった。試合を通して守備は良かったが、第3Qのミスで崩れてしまった。攻撃は第1Qで勝ち急いで、打っていいところと、打ってはいけないところの区別が、会場の雰囲気もあり、ペースを崩してしまった。後半はうまくドライブしながらレイアップ、3点弾へとつないで修正していたが、単純なターンオーバーがもったいなかった。

◆守備遂行力が良かった
 大野篤史HC(千葉)の話 守備の遂行力が良かった。1週間準備してきたことで、前半はほぼノーミスでできた。後半は、スチールから走れたことが選手らの流れになった。明日も築き上げてきたことをコートで発揮し、琉球に対して準備してきたことをやる。

◆前半粘るも第3Q自滅 最終盤 反撃届かず
 前半を終え22―30。キングスの追い上げがここから始まるはずだった第3Q。序盤から息が合わず、受け手のいないエリアに放たれたパスがそのまま外へ。まさかの凡ミスが、千葉をリズムに乗せてしまった。佐々宜央HCは「プロバスケットチームとしてやっちゃいけないターンオーバー。観客も一番落胆したシーンじゃないですか」と怒りを隠さない。前半は守備で粘り、最終盤は攻撃がうまくつながっただけに、「残念な試合」(佐々HC)と、流れを引き寄せられなかった第3Qを悔やんだ。

 試合序盤は千葉のピックアンドロール対策で、キングスの強みが抑えられたが、キングスも守備で応戦した。岸本隆一も「重たい展開でも相手にスコアをさせず、悪い展開ではなかった」と想定内の流れ。ハッサン・マーティンがスチールからの速攻でダンクを決めて、インパクトを与えた。しかし、第3Q開始からパスミスが出て、「ミスを逃さず襲いかかる千葉の攻撃力」(岸本)を見せつけられ、敗れた。

 ミスが強調された試合だったが、攻撃面は前半、縦の攻めが足りず、岸本は「3点弾を生かすためにいかにペイントエリアに攻め込むか。後半はアタックしつつキックアウトできた。明日はそこを意識していく」と述べ、攻撃の幅を広げる修正点を挙げた。

 ミスに泣いたが、後半の追い上げを会場に駆けつけたファンが「ゴーゴーキングス」の声で支え続けた。岸本は「一番つらい時にファンが声を出してくれた。明日はプレーで思いを返していきたい」と準々決勝に続く逆転を誓った。
 (嘉陽拓也)