事故から半年、沖縄県警は立件困難視 米軍機部品の保育園落下


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はだしで元気に遊ぶ園児たち=沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園

 沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園に米軍機の部品カバーが落下した事故で、県警が事件として立件することを困難視していることが6日までに県警関係者への取材で分かった。7日で落下から半年となるが、原因は明らかになっていない。米軍は所属機からの落下を否定し、調査を打ち切っている。県警が捜査をできないとなれば、保護者らが望む全容解明は遠のく。

 在沖縄米海兵隊は本紙取材に「県警が調査している。正確な回答を得るためには彼ら(県警)に問い合わせることをお薦めする」と答え、当事者として関わらないことを強調した。

 米軍が関連を否定しているため、県警は基地内での立ち入り調査をできていない。「日米地位協定の実施に伴う航空特例法」では、航空機から物件の落下を禁止する条文の適用を除外している。県警によると、刑法など他の法令の適用も難しいという。

 仮に米軍機からの落下だと特定できたとしても、日米地位協定で訓練中の事故は公務中の扱いと定められており、第一次裁判権は米側となることが想定される。
 県警幹部は「米軍はこちらからの照会に『落としていない』と言っている。落下した瞬間の目撃者もいない。そもそも訓練中ならば第一次裁判権はわれわれにない。(全容解明は)厳しい」とする。

 筒井洋樹県警本部長は2月の県議会で「刑罰法令に該当する事実の確認はされていない」と述べ、その後の調査も進展していない。

 沖縄防衛局は「引き続き関係機関が調査していると承知している。新たな情報が得られれば、県を初めとする関係自治体に提供する」と述べるにとどめた。