負担軽減「でたらめ」 参列者、首相発言に怒り


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 沖縄全戦没者追悼式のあいさつで、西普天間住宅地区跡地の引き渡しなど基地の負担軽減の成果を強調した安倍晋三首相。しかし翁長雄志知事をはじめ県民の多くが反対し負担増と訴える名護市辺野古の新基地建設や、米軍機の不時着や墜落など度重なる事故については一言も触れなかった。知事の平和宣言とは対照的にまばらな拍手。会場からは、安倍首相に直接ぶつけるように「すぐ帰れ」「うそつき」などと非難する声が飛び交った。首相の言葉に参列者は「矛盾している」「でたらめだ」と憤りをあらわにした。

 那覇市の高良勇さん(76)は、首相あいさつが始まって5秒ほどで席を立った。「いつも同じことしか言わないから聞きたくない」。インドネシアのジャワ島で亡くなった父は遺骨も返ってきていない。「西普天間の返還といっても、大きな基地を辺野古に造ろうとしている」と怒気を込め、会場を後にした。

 沖縄戦で親族7人を失った大城頼子さん(81)=那覇市=は「戦没者の無念を思うと胸がつぶれる」という首相発言に「感情も行動も伴わない。でたらめだ」と切り捨てた。

 魂魄の塔で手を合わせていた金城正則さん(67)=那覇市=は「負担軽減と言いながら基地被害にも触れていない。真実味がない」と批判。「沖縄に基地は必要ない。政府が基地を沖縄に置いておきたいだけだ」と眉をひそめた。