武器を手にした後悔 元自衛官誓う 平和と反戦への思い


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
母方の親族が刻銘された礎の前で手を合わせる豊見山尚樹さん=23日、糸満市摩文仁

 元航空自衛隊員の豊見山尚樹さん(24)=沖縄県那覇市=は、戦争で犠牲となった両親の親族に手を合わせるため、毎年慰霊の日には必ず平和の礎を訪れる。ことしも23日、親族の名が刻銘された礎の前に膝をつき、平和の継承と反戦を誓った。

 東日本大震災をきっかけに「人や社会の役に立ちたい」との思いが強まり、2012年、高校卒業と同時に航空自衛隊へ入隊した。だが、与えられた任務は戦闘機の整備係で、小銃訓練にも参加した。約1年勤務したが、思い描く任務とはかけ離れていたため退職、現在は新聞記者を目指し大学で経済学を学ぶ。

 「先祖が戦争で亡くなったのに、人を殺すためにある武器を一度は手にしてしまった」。豊見山さんは今も後悔の念に駆られている。自衛隊の設備や任務が、国家防衛よりも攻撃性を重視する傾向にあると指摘し「戦没者の死を無駄にしてはいけない、絶対に日本を再び戦争ができる国にしてはならない」と力を込めた。