北部訓練場跡地、国立公園に 世界遺産向け3700ヘクタール編入


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 【東京】環境省は29日、米軍北部訓練場の跡地を含む沖縄本島北部の森林約3700ヘクタールを「やんばる国立公園」に編入したと発表した。政府はやんばる国立公園などを世界自然遺産候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦したが、ユネスコ諮問機関から訓練場跡地の森林も推薦範囲に加える必要があるなどとして、登録延期を勧告された経緯がある。国立公園編入で指摘事項の一つを解決したことになり、中川雅治環境相は「早期の世界遺産登録に向けた大きな一歩になる」と意義を語った。

 環境省は返還地を調査し、高い林齢の亜熱帯照葉樹林がまとまって分布するなど、既存の国立公園と同等の自然環境が広がっていることを確認。返還地の9割に当たる区域を含む3700ヘクタールの編入を決めた。今回の編入で、やんばる国立公園の区域面積は1万7311ヘクタール(陸域)になった。

 中川環境相は「やんばる国立公園のさらなる自然環境保護と適正利用を図り、後世にしっかり自然環境を引き継ぐことができるように取り組む」と話した。

 環境省は世界自然遺産への推薦をいったん取り下げ、来年2月に再提出することを目指す方針。だが、ユネスコ諮問機関からの指摘は他にもあり、次回20年の推薦は文化遺産と自然遺産のどちらかしかできないなど、推薦へハードルが上がるといった課題がある。