民意示す機会つくる 県民投票法定到達 撤回訴訟時の後押しに


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<解説>

 「辺野古」県民投票の会が法定数を約1万上回る署名数を獲得したことで、名護市辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票が実施される公算が大きくなった。今後、順調に手続きが進み、県議会で条例が可決されれば、条例公布から6カ月以内に投票が実施される。県民投票の会は知事の埋め立て承認撤回後、想定される国との裁判で県民の民意を後押しに勝訴し、埋め立てを白紙に戻したいという狙いがある。「裁判で勝つために県民投票を位置付けるとぎりぎりのタイミング」と指摘する。今後は、県民投票実施に向けた手続きがスムーズに進むかどうかが注目される。

 署名集め開始当初は労組の動きも鈍く、辺野古新基地建設に反対する市民の間でも賛否が分かれ、署名はなかなか集まらなかった。新基地建設に反対する市民の一部から「知事の撤回判断を遅らせる」などの批判が上がり、米軍キャンプ・シュワブゲート前では県民投票の話をすることさえできない雰囲気があった。

 しかし翁長雄志知事が「公有水面埋め立て法の違反を理由として撤回をするという判断は県民投票の時期やその結果に縛られるものではない」と自らの撤回判断と切り離す考えを強調したことで空気が変わった。新基地建設に反対する各地の島ぐるみ会議など市民団体の草の根の活動も理解を広げ、署名の伸びにつながった。

 会は1996年の県民投票で集まった有効署名の割合の3・66%を超える4万2千超を目標に据える。今後は県民の関心を高められるかどうかが焦点となる。
(中村万里子)