“未発達台風”であたふた スーパーや観光施設 休業一転、急ぎ開店も


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
出発便の確認をする利用客=21日、那覇空港

 沖縄本島を直撃し、強い風雨による被害が懸念された台風10号。しかし、本島では21日も朝からセミの鳴き声が響き、時折晴れ間がのぞくなど台風を感じさせない天候のまま過ぎ去った。午前中に臨時休業することを事前に決めていたスーパーなどは、台風情報や実際の天候から、急きょ通常営業に戻すといった判断も。風雨にそれほどの激しさがなく、観光・娯楽施設などでも普段と変わらない観光客らの姿が見られた。ここのところ連続して台風が訪れ、爪痕を残していた沖縄県内だが、大きな被害も確認されず、安堵(あんど)する声が聞かれた。

 リウボウストアは20日時点で、21日午前は全店舗で臨時休業し午後1時から営業を再開する予定だった。しかし、担当者が台風情報も踏まえ、午前3、4時ごろに空模様を確認。「雨や風が弱く大きな影響はないと判断した」と、大半の店舗で通常の開店時間から営業した。イオン琉球も21日午前は臨時休業を予定していたが、早朝に台風情報を確認し、全店舗で通常通り営業を開始した。

沖縄本島に接近した際の気象衛星からの台風10号の画像。雲が少なく、台風の目がはっきりしない状況だった=21日午前8時40分ごろの様子(ひまわりリアルタイムWebより)

 観光・娯楽施設も影響を受けた。夏休み初日の21日、沖縄こどもの国は特別企画がめじろ押しだった。前日までにイベントの中止や延期を決めていたが、肩透かしを食らった形。本島中南部は朝で暴風警報が解除されたことを受け、通常の1時間遅れの午前10時半から開園した。総務企画課長の翁長朝さんは「出ばなをくじかれた感じ。前日まで慌てて対応したが、被害も大したことなく、台風に振り回された」と苦笑した。

 那覇空港では欠航が相次いだ。神奈川県から訪れた観光客(46)は朝に羽田に向かう便が欠航となり、夜の便に変更した。「バスやモノレールは運行したのでよかった。欠航は仕方ないので、観光を楽しみたいと思う」と切り替え、残りの滞在時間で首里城を訪れた。

 首里城公園は、21日午前は臨時休園・休館する予定だったが、台風の動きを確認し、午前11時から開園・開館した。公園内売店員の女性(54)は「開店は午後からだと予想していたので、午前11時開園の情報を聞き、急いで家を出た」と慌てて出勤した。「前回の台風よりは風も雨も弱く大きな影響がないことには安心した」とほっとした表情を見せた。

 本島から周辺離島へ向かう船も大半が欠航した。那覇市前島のOTSレンタカーとまりん営業所では、予定していた船に乗れずに日程を変更して急きょレンタカーを借りる観光客が相次いで訪れ、担当者らが対応に追われていた。