地位協定 抜本改定、異例の提言 全国知事会 「不平等性」に理解


この記事を書いた人 琉球新報社
全国知事会議の場で日米地位協定改定の必要性を強調する県の謝花喜一郎副知事(前列中央)=27日午前、札幌市内

 全国知事会が日米地位協定の抜本改定を求める「提言」を全会一致で採択した。提言は翁長雄志知事の要望を受けて全国知事会が約2年前に設置した「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」の調査結果の“集大成”と言える。これまで米軍基地を抱える15都道府県でつくる「渉外知事会」が日米地位協定の改定を日米両政府に要請してはきたが、全国知事会には基地のない自治体も多数含まれており、地位協定問題を巡る議論を全国に広げる契機となりそうだ。

 「提言」は日米安保体制については「領土・領海を守る」と共通理解を示した。一方で基地を実際に抱える自治体には、騒音や事件・事故、環境汚染といった日常生活面の負担を与えている側面も指摘した。

 地位協定問題は全国的には「政府間の問題」として処理され、保革を超えて抜本改定を求める沖縄側の訴えはほとんど反映されてこなかった。特に基地を抱えていない自治体は「国防問題は国の専権事項」と距離を置く傾向が強い。その中で全国知事会が住民生活や自治の観点から地位協定の「抜本改定」にまで踏み込んで今回の提言をしたことは異例だ。

 全国知事会の研究会は提言をまとめるに当たり、地位協定改定の必要性を否定する外務省を含め広く聞き取りをした上で、今回の結論を出した。日米地位協定について沖縄側が指摘してきた「不公平性」「不平等性」に関する認識が一定程度理解を得たと言える。

 知事会議では渉外知事会の黒岩祐治会長(神奈川県知事)も挙手し、全国知事会として基地のない自治体も一緒に地位協定の改定を求めることの意義を強調した。一方、全国知事会として採択した「提言」をどう国政の場に反映させていけるか、今後の具体的な動きが鍵となりそうだ。(島袋良太)