戦没者数の刻銘要請 元全学徒の会 1974人算出、県に報告


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県に対し、学徒全体の戦没者数を記した刻銘板の設置を求める「元全学徒の会」の宮城政三郎さん(右端)ら=7日、那覇市の県庁

 沖縄戦に動員された県内21の師範学校や中等学校の元生徒らでつくる「元全学徒の会」は7日、県庁を訪れ、同会としてまとめた元学徒全体の戦没者数が1974人になったことを報告し、糸満市摩文仁の「全学徒隊の碑」の横に学徒全体の戦没者数を記した刻銘板を設置するよう要請した。応対した県子ども生活福祉部の上間司生活企画統括監は「どういう方法ができるのか考えている。もう少し待ってほしい。できるだけ早く取り組みたい」と説明した。

 2017年3月に建立された「全学徒隊の碑」には、全体の戦没者数について説明がない。元学徒の会は、どれだけの人数が戦死したのかを記すことで、悲惨な学徒たちの戦争体験を効果的に次代へ継承できるとの考えだ。要請では県に対し、戦没者数を刻んだ刻銘板の設置を、19年3月14日に「全学徒の碑」で開く集会までに進めていくよう求めた。

 4月に結成した元全学徒の会は、各校の慰霊碑に刻銘されている戦没者数やひめゆり平和祈念資料館の資料集、証言などを踏まえて同窓会で学校ごとに精査し全体の戦没者数を算出した。ひめゆり平和祈念資料館が2008年6月に発行した資料集「沖縄戦の全学徒隊」や、その資料集を基に県史で掲載されている戦没者数は、元学徒の会が確認した数字と違う点がある。

 「元全学徒の会」幹事で元県立第一中学校学徒の宮城政三郎さん(90)=那覇市=は「各校に精査を依頼し、やっと戦没者数を確定した。刻銘板を設置するのかしないのか8月中に回答してほしい」と求めた。戦没者数が分かっていない開南中については「0人ではなく『精査中』とした方が沖縄戦がいかに混沌(こんとん)としていたのか実相を伝えるのに妥当ではないか」と強調した。