知事選一騎打ちの公算 超短期戦 告示1ヵ月切る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
遺族らが見つめる中で始まった翁長雄志知事の告別式=13日午後2時すぎ、那覇市松山の大典寺(代表撮影)

 8日に死去した翁長雄志知事=享年67=の葬儀・告別式が13日に営まれ、約4500人余が最後の別れを告げた。自公協力やオール沖縄体制といった枠組みを生み出し、新たな政治潮流をつくってきた希代の政治家だった。那覇市長、県知事として保革を超えたウチナーンチュの結束を呼び掛け、沖縄の基地問題の不条理を日米両政府に突き付けた。志半ばながら県民や全国に強烈な印象を刻んだ翁長県政3年8カ月の歩みに、参列者からねぎらいの言葉が寄せられた。一方、県政与野党は9月30日投開票の知事選に向けた準備を加速化させている。

 9月13日告示、30日投開票の第13回県知事選は告示まで1カ月を切った。県政与党は8日に死去した翁長雄志氏の後継擁立に向けた作業を加速化する考えで、週内にも政党や労働組合、企業などで組織する選考委員会を発足する。対する野党自民が擁立した宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)は14日に辞職届を議長に提出し、知事選への出馬を正式に表明する。県政史上初めてとなった現職知事死去による知事選の前倒しにより、県政史上例を見ない超短期決戦となる。今選挙は事実上の一騎打ちとなる公算が大きい。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の是非が最大の争点となる。現県政による埋め立て承認撤回も選挙戦の行方に影響しそうだ。

 知事選の期日が決定した日に「告示まで1カ月」という異例の展開となった今知事選。与野党双方とも選挙母体とともに政党間の協力態勢づくりにも着手する。

 与党は、14日に政党や労働組合などでつくる調整会議を開き、選考委員会の枠組みや人選について協議を始める。複数の与党幹部によると、調整会議と会派おきなわを中心に結成した「翁長知事を支える政治・経済懇和会」が中心となって選考委を発足する予定で、城間幹子那覇市長や謝花喜一郎副知事、呉屋守将金秀グループ会長、稲嶺進前名護市長らを軸に人選を進める見通し。

 与党代表者会議座長の照屋大河県議は13日、「翁長知事の後継者の基準などを各組織で確認している。与党が先んじてということではなく、今まで選挙を一緒に進めてきた皆と知事選のスケジュールに沿って油断なく対応したい」と話した。

 一方、自民党県連は13日、県連事務所で議員総会を開き、今後の日程について確認した。選挙戦で掲げる政策作りや、公明、維新への推薦依頼も並行して行う。国場幸之助会長は今後の取り組みについて「全ての作業が前倒しになる。統一地方選や那覇市長選、宜野湾市長選、豊見城市長選もある中、一つ一つ丁寧にスピード感を持って取り組む」と話した。

 一方、保守系候補として出馬を表明している元沖縄観光コンベンションビューロー会長の安里繁信氏(48)は19日までに出馬を断念し、佐喜真氏一本化に応じる見通し。関係者によると、安里氏は10日に那覇市内で菅義偉官房長官と面談し、菅氏から一本化に向けての協力を求められたという。