地位協定改定を要請 全国知事会 防衛、外務省に


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山本朋広防衛副大臣(左)に提言を手渡す全国知事会の上田清司会長(中央)と、謝花喜一郎副知事=14日、防衛省

 日米地位協定の改定などを国に求める提言を7月に採択した全国知事会の上田清司会長(埼玉県知事)や県の謝花喜一郎副知事らは14日、防衛省や外務省を訪れ、採択内容の実現を要請した。これまで渉外知事会が日米地位協定の改定を求めたことはあったが、全国知事会が提言を要請するのは初めて。謝花副知事は「我が国の憲政史上初めてで、県としても画期的な出来事だと高く評価している。地位協定については、もう一歩踏み出した対応を(政府に)お願いしたい」と強調した。

 文書では米軍基地の存在による航空機騒音や米軍人らによる事件・事故、環境問題などが基地周辺住民の安全安心を脅かし、所在自治体に大きな負担を強いていると強調。地位協定は締結以来、一度も改定されておらず、国内法の適用や自治体の基地立ち入り権がないなど「十分とは言えない」とした。依然として沖縄に基地が集中する中、基地返還後の跡地利用に伴う経済効果が大きいとし、さらなる返還が求められるとした。

 その上で(1)米軍の訓練ルートや訓練を行う時期の速やかな事前情報提供(2)日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させること(3)米軍人らによる事件・事故に対し実効的な防止策の提示―など4項目を求めた。

 要請後、取材に応じた上田会長によると、要請先からは「丁寧に対応したい」との返答があったという。

 上田会長は「防衛政策は国の専管事項だが、住民からいろんな反応を受けるのは地方自治体だ。私たちの立場をしっかり米国政府や関係者に伝えていただきたい」と強調した。

 上田会長らは、山本朋広防衛副大臣のほか、外務省では堀井巌外務大臣政務官に要請した。駐日米国大使館のジョセフ・ヤング首席公使とも面談し、提言内容を説明した。