9月の沖縄は毎週選挙 全国的にも前例がない1カ月に 知事選、宜野湾市長選、地方議会選挙など37の選挙を予定


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■選挙で埋まる日曜日

このカレンダーを見てほしい。9月に沖縄県内で実施される選挙の告示、投開票の日程だ。

この1カ月間で県知事選挙、宜野湾市、本部町、伊是名村、大宜味村の4首長選挙、那覇、うるま、石垣の3市区の県議会議員補欠選挙、名護市や沖縄市をはじめとする29市町村議会選挙が実施される予定だ。ほぼ毎週選挙の告示、投開票があるという前代未聞の事態となっている。

全国の選挙情報、政治家情報などを発信するWEBサイト「選挙ドットコム」の増沢諒編集長も「1カ月にこれだけ多くの選挙が実施されるのは記憶にない」と驚く。

もともと沖縄は2018年が選挙イヤーだ。全国的には2019年が統一地方選の年だが、沖縄は戦後初の地方議員選挙が他県より1年早い1946年に実施されたため、統一地方選の年が1年早い。

今年は29市町村議会議員選挙(一般的に統一地方選には首長選挙も含まれるが、ここでは市町村議会議員選挙を「統一地方選」と呼ぶ)や那覇市長選挙、豊見城市長選、県内最大の政治決戦、知事選挙などが秋に実施されることが決まっていた。

■翁長知事急逝に伴い、知事選、宜野湾市長選、県議補選が前倒し

前回知事選の開票の様子=2014年11月16日、那覇市民体育館

当初、知事選は11月18日投開票の予定だったが、翁長雄志知事の急逝に伴い、9月13日告示、30日投開票に前倒しされた。知事選には自民党系の候補として宜野湾市長の佐喜真淳氏が出馬を表明。14日には市議会議長に辞職願を提出し、17日に市議会が全会一致で辞職に同意した。これを受けて、宜野湾市長選挙の実施も決定。知事選と同日に行われる見通しだ。

公職選挙法では都道府県知事の選挙が行われる場合、選挙の告示前までに都道府県議会議員に欠員があれば、同時に補欠選挙が行われると定められている。これに則り、欠員がでているうるま市、石垣市区の県議補選も知事選と同日に行われる。県段階では決定ではないが、那覇市も現職県議が那覇市長選挙への出馬を表明しており、この県議が知事選告示前に辞職すれば、那覇市区の県議補選も実施される。

■選挙の集中はいいこと?

1票を投じる有権者

選挙となると私たち報道機関は「選挙取材班」を作り、選挙報道に追われる。これだけの多くの選挙が実施される1カ月はかつてないほど忙しくなることが予想されるため、個人的には戦々恐々としている。

しかし、前出の増沢編集長は「全国一斉に同一日に地方議員や首長の選挙を実施する『統一地方選』は、有権者の選挙への意識を高めることと選挙事務の費用を節減するのが目的で始まった。今回のように選挙が集中するのは自治体のコスト、有権者への啓蒙という意味ではいいことです」と話した。
(玉城江梨子)