闘鶏 捨てないで 傷つき縛られ畑に放置 本田さん、1年で80羽保護


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両脚を縛られた状態で捨てられていた闘鶏とみられる鶏=4月17日、本島南部

 闘鶏(タウチー)でけがを負ったとみられる鶏が畑や農道に捨てられている事案が、沖縄県内各地で相次いで確認されている。瀕死(ひんし)の状態や目がつぶれ、脳がむき出しになったままの鶏が脚を縛られていたり、袋に詰められたりして、捨てられている。約1年前から、本島南部で投棄された鶏を保護する活動を続ける本田京子さん(41)は「多くの人にこの状況を知ってもらい、考えてほしい」と訴える。県自然保護課も「飼い主が責任を持って育ててほしい」と呼び掛ける。県警は、動物愛護管理法違反の可能性があるとして周辺の聞き込みやパトロールなど捜査を進めている。

 本田さんは約1年前、名護市内でけがを負った鶏1羽を見つけ、保護した。「こんな状態で捨てられて見過ごせない」と、その後は会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックなどを通して寄せられた情報などを基に、これまで約80羽を保護した。鶏が捨てられていた場所は、本島南部から北部まで広範囲にわたっているという。

 今年1月からは、本田さんの自宅周辺に傷ついた鶏が捨てられるようになった。今月10日夜にも、自宅前の道路に雌の鶏やひななど32羽が袋に詰められた状態で大量に捨てられていた。うち2羽は袋の底で死んでいた。自宅周辺で捨てられていた鶏は保護した約80羽のうち、約60羽に上る。

 県動物愛護管理センターは、主に犬と猫が収容の対象となっており、鶏は保護することはできない。現在、県内の施設で鶏を保護できる場所は事実上ないという。県自然保護課は「適切な治療をせずに放置し、死に至らしめた場合は虐待に当たり、動物愛護管理法に係る犯罪だ」と強調する。同法では犬や猫のほか、鶏も対象となっており、遺棄の禁止も定めている。

 本田さんの保護活動を知り、鶏を引き取る人や餌を無償で提供する人など協力者も増えているという。本島北部在住の田丸正幸さん(49)は7日、本田さんのフェイスブックを見て8羽を引き取った。田丸さんは「動物を飼って自分たちの身勝手で捨てるのは、あまりにもひどい。行政のサポートもあれば助かる」と強調する。

 協力の輪も広がっているが、鶏の餌代や治療費がかさむため、本田さんは県民からの寄付を募っている。「解決策が見えずお金の不安もある。多くの人にこの状況を知ってもらい考えてほしい」と訴える。

 本田さんの活動への問い合わせや支援の申し込みは、フェイスブックの「クックハウス」で、寄付は銀行振り込みで受け付けている。振込先は口座名義・クックハウス本田京子(琉球銀行名護支店 普通947522)。
 (半嶺わかな)