沖縄県知事選、「オール沖縄」の枠組み維持へ 県政与党「玉城氏は勝てる候補」


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
沖縄県知事選候補の人選を進める県政与党「調整会議」のメンバー。手前右は記者団の質問に答える議長の照屋大河県議=19日夜、沖縄市

 沖縄県知事選に向け、県政与党が自由党幹事長の玉城デニー衆院議員を擁立する方針を固めた。8日に死去した翁長雄志知事が生前残した音声で玉城氏を「後継指名」したことが決め手となった。一方、翁長氏が後継候補に挙げたもう一人である金秀グループの呉屋守将会長が玉城氏の支援を表明。保革を超えた政治勢力の結集を図る「オール沖縄」の枠組みは維持される見通しとなった。

 玉城氏は人気ラジオ番組のパーソナリティーから政治家に転身している。知名度が高い上に、保革を超えた幅広い層から支持を得ていることから、与党は「勝てる候補」と判断した。与党幹部はオール沖縄の弱点とされる「若年層からも票が取り込める」と評価しており、近く出馬を正式に要請する。

 今後は玉城氏が要請を受諾できるよう環境を整備することが必要となる。告示まで1カ月を切る中、選挙態勢をいかに構築するか、与党の力量が問われる

 玉城氏は与党が主宰する「調整会議」が推薦した候補者の中に名前を連ねていなかったが、翁長氏が音声を残していたことが17日に発覚し、事態は急変した。調整会議が「翁長知事の遺志は重い」ことを全会一致で確認したことで、玉城氏に白羽の矢が立った。

 玉城氏は2017年10月の衆院選では米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に反対する公約の堅持を理由に、所属する自由党からではなく無所属で出馬した。米軍基地問題では一貫した姿勢を示しており、知事選では新基地建設の是非を争点に、建設反対の意思を前面に訴えるとみられる。
 (吉田健一)