承認撤回へ材料そろう 辺野古埋め立て 県が聴聞報告書まとめる


この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学
17日に土砂投入を予定していた米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の埋め立て区域「2-1」部分。土砂の投入や護岸工事は確認されなかった=17日午前、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古移設を巡り、県が埋め立て承認撤回に向けた手続きとして進めてきた聴聞の調書と報告書が20日、完成した。県が撤回を判断するための材料がそろい、手続きとしては、いつでも撤回できる環境が整った。今後は、県がいつ撤回に踏み切るかが焦点。県は、辺野古海域へ土砂を投入する動きがあればすぐに撤回する構えだが、土砂が投入されなくても9月30日の知事選投開票日の前に撤回する公算が大きくなっている。

 謝花喜一郎副知事は21日以降、報告書の内容を踏まえ、埋め立て承認の時期を判断する。調書と報告書は非公表だが、当事者である沖縄防衛局は閲覧できる。21日、内容を確認するため防衛局職員が県庁を訪れる見通しだ。

 知事職務代理者の富川盛武副知事から撤回判断の権限を委任された謝花副知事は20日、記者団に「土砂を投入するという動きがあれば、我々として毅然(きぜん)として対応する」と語った。国が損害賠償請求を示唆していることに対し「そういった事も含めて私としてはしっかり覚悟を決めている」と話した。

 県は土砂投入前に埋め立て承認を撤回する方針だ。翁長雄志氏の知事在任中の急逝や天候の影響で土砂投入が当初予定より先送りされている。知事選後まで土砂が投入されない可能性もある。県政与党内では知事選まで土砂投入がなかった場合でも「知事の遺志を継ぐために撤回するべきだ」との声がある一方、「土砂投入がなければ撤回せず、切り札を持っておくべきだ」という声もある。