「いつの間にか戦争に」 北谷高生、体験者聞き取り発表 沖縄・南桃原公民館


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聞き取りで教えてもらった空襲警報の歌「入ってみましょう防空壕」を発表する北谷高校の生徒ら=16日、沖縄市の南桃原公民館

 【中部】沖縄県立北谷高校の生徒が16日、沖縄市の南桃原公民館で同地域の住民を招いた平和講話を開いた。同校は昨年度から、生徒が沖縄戦の背景や体験者の証言を収集し、発表する平和学習を実施している。「学習を通じて、私たちに何ができるのか」。沖縄戦の悲惨さを次代に継承するための生徒主体型の平和学習で、平和とは何か、戦争が起きないためにどうしたらいいかを問い続けている。

 生徒の平和学習を指導するのは功刀(くぬぎ)弘之教頭だ。2011年度から4年間、県平和祈念資料館に出向し、さまざまな体験者の話や資料収集に携わってきた。15年度に現場に戻ってから、平和学習に力を入れている。戦後73年がたち、沖縄戦を知る人も少なくなっている。従来の平和学習では、沖縄戦の歴史や講話などがあるが「そうした知識や講話を聞いて、じゃあ私たちに何ができるのか。もう一歩踏み込んだ学習をしなければと思った」と話す。

 16日の生徒による平和講話では、沖縄戦当時米陸軍の通訳兵だった故比嘉武二郎さんの半生を中心に、沖縄戦に至るまでの出来事や、南桃原に住む島袋文子さんから聞き取った証言も紹介した。

 生徒たちは、聞き取りで教えてもらった空襲警報時の歌も発表した。「入ってみましょう防空壕」の歌を口ずさみながら聞いていた女性(82)は「今聞いて思い出した。戦後も大人たちが歌っているのを聞いて、私たちも歌っていた」と当時の記憶を思い起こしていた。

 南桃原を代表してあいさつした山内盛宏さん(80)は「沖縄には現在も戦争のための基地があり、沖縄の戦後はまだ続いている。そういった意味でも若い皆さんに戦争の恐ろしさを知り、平和になるように努めてほしい」と願いを込めた。

 「戦争は遠い過去の話と思っていた」と語るのは、北谷高校2年の新城晴海さん(16)。体験者からの聞き取り調査を通じ、証言者が共通して口にしたのは「いつの間にか戦争になっていた」だった。「若い世代が関心を持ち、いつの間にか戦争にならないように行動していきたい」と語った。