3団体、“らしさ”発揮 来月22~24日 浦添「てだこ演劇祭」座談会


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 てだこ演劇祭2018(主催・琉球放送、浦添市てだこホール)が9月22~24の3日間、浦添市てだこホール大ホールで開催される。昨年出演したチームスポットジャンブル(TSJ、主宰・津波信一)、劇団O.Z.E(オゼ、頭(かしら)・新垣晋也)、演芸集団FEC(代表・山城智二)の3団体が今年もそれぞれの特長を生かした演劇やコントを繰り広げる。13日、那覇市の琉球放送会館でTSJの末吉功治、劇団オゼの頭である新垣、FEC所属でお笑い米軍基地の演出を手掛ける小波津正光が、演劇やお笑いに対する思いなどを座談会で語った。司会は琉球放送の狩俣倫太郎アナウンサー。

(左から)小波津正光、末吉功治、新垣晋也

基地の今を伝えたい 小波津

7年ぶりに「蓬莱丸」 末吉

ナナサンマル等身大で 新垣

 ―昨年、てだこ演劇祭に出演してどう感じたか。

 小波津 他の皆さんはしっかりとした演劇なのに、なぜFECが選ばれたのか不思議だった(笑)。でも劇団の演出などを見ることはとてもいい刺激になった。

司会・狩俣倫太郞アナウンサー

 新垣 まとまった日にいろんな演劇を見られるのはとても良かった。

 末吉 演劇祭ができるのは県民がこういった舞台のエンターテインメントを欲しているんだなって感じた。

 ―それぞれの演劇の特徴は。

 新垣 オゼは等身大の作品が多い。心掛けているのは、笑いと感動の双方を入れることだ。地元の言葉をせりふに盛り込んでいることも一つだ。

 末吉 TSJはファンタジーとアクションを入れている。飽きないような手放しで楽しめる作品を心掛けている。

 ―最近の「お笑い米軍基地」はどのようなコントを取り入れているか。

 小波津 沖縄のテーマとは全然違うネタを入れたりしている。「お笑い米軍基地」なのに基地問題を出さないとか。スマホを活用したネタもある。

 ―演劇を続ける魅力とは。

 末吉 拍手を頂ける仕事ってなかなかない。自分にとってそこが魅力の一つだと感じる。

 小波津 テレビやラジオではできないことを自分たちはやっている。それをお客さんがお金を払ってまで見たいと来てくださる。そこが続けられる魅力かな。

 ―若い世代中心に演劇をしたい人が増えている。

 新垣 確かに増えている。しかし沖縄だけの事情を見ていると、フリーで活動する役者が多い。劇団に入れば同じ作品に何回も出演して、その役にのめり込むことができる。フリーだと前回やった作品を再度演じることはできないことが多い。それだとお客さんに違和感を抱かせてしまうので、劇団に入って活動してほしいなと思う。

 ―演劇が重要な存在だと感じるか。

 新垣 市民劇「飛べ!琉球鳥人」では、参加したおかげで親子の会話が弾んだという声もあった。引きこもりだった子が明るくなったり、感情を出したり、みんなとやり遂げるという達成感があった。人生を変えるような存在だと思う。

 末吉 定期的にワークショップなどを開いているが、そこで思うことは、人とのコミュニケーションに演劇はとても役に立つということ。演じる前と後でその人の価値観や性格も変化する。

 小波津 自分たちの場合、沖縄の問題をコントで伝えているのも一つだが、こんな人でもステージに立って会場を沸かせることができると思えたらうれしい。

 ―今回の見どころは。

 末吉 「蓬莱丸(ほうらいまる)」という作品を7年ぶりに上演する。アクションなどTSJらしさがふんだんに出た面白い作品だ。

 新垣 新作の「730(ナナサンマル)」を上演する。40年前の7月30日、右側通行から左側通行へ移行する瞬間を捉えながら、一切車を使わずに柔らかく描いている。

 小波津 お笑い米軍基地は常に今の状態を伝えたい。翁長(雄志)知事が亡くなり、知事選に近い時期での公演。ネタとして取り入れたいが、その中で何ができるか、今模索している。

    ◇   ◇

 TSJの「蓬莱丸」は22日午後6時開演。入場料は前売り一般3千円、中学生以下2千円(当日各500円増し)。オゼの「730」は23日午後6時開演。前売り一般2500円、中学生以下1500円(当日各500円増し)。演芸集団FECの「基地を笑え!お笑い米軍基地特別編」は24日午後5時開演。入場料は前売り一般2500円、中学生以下1500円(当日各500円増し)。