「違法状態放置できず」 謝花副知事、埋め立て承認取り消しの根拠を説明 「移設阻止に全力」と決意


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辺野古公有水面埋め立て承認撤回の根拠などについて記者会見で説明する謝花喜一郎(右)、富川盛武の両副知事=31日午後4時ごろ、那覇市の県庁

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県の富川盛武副知事と謝花喜一郎副知事は、31日午後4時から県庁で記者会見を開き、仲井真弘多前知事による辺野古の埋め立て承認を撤回したと発表した。

 国は県の撤回による新基地建設を進める法的根拠を失い、工事は中断する。会見で謝花喜一郎副知事は「違法な状態を放置できないという法律による行政の観点から、承認取り消しが相当であると判断した」と述べた。

 謝花副知事は、沖縄防衛局から反論を聞いた聴聞手続きの報告結果として①留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違法行為があり、行政指導を重ねても是正しない②軟弱地盤、活断層、高さ制限および返還条件などの問題が承認後に判明した③承認後に策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じることは明らか-の違法性が認められたと指摘。「違法状態を放置できないとの行政の原理の観点から、承認取り消しが相当であると判断した」と説明した。

 さらに謝花副知事は「辺野古に新基地を造らせないという翁長(雄志)知事の強く、熱い思いをしっかりと受け止めた」とした上で、「名護市辺野古新基地建設阻止の実現に向け、今後とも全力で対応していく」と力を込めた。

 富川副知事は「聴聞報告書ができた時点から総合的、慎重に判断してきた行政手続きの結果であり、政治的な判断や時期の選択といったことは一切ない」と強調した。 

 県の撤回通知に対し、国は今後、法的対抗策として撤回の効力をなくす執行停止を求める訴訟を起こすことなどを検討している。当初、8月17日から開始を予定していた辺野古海域への土砂投入は当面できなくなる。ただ、国が裁判所などに執行停止を求めて認められた場合、数週間から数カ月程度で工事が再開される見通しで、国と県は再び法廷闘争に入る。【琉球新報電子版】