辺野古承認撤回 翁長知事遺志 貫く 副知事「思いに応えた」


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埋め立て承認撤回の根拠などを説明する謝花喜一郎副知事(右)と富川盛武副知事=31日午後4時14分、県庁

 米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設で沖縄県は31日、埋め立て承認の撤回に踏み切り、記者会見を開いた。謝花喜一郎、富川盛武両副知事の会見場所は、現職知事で亡くなった翁長雄志さんが7月27日に「承認撤回をする」と表明したのと同じ県庁内の特別会議室。翁長さんの遺志によって、撤回の権限を託された謝花副知事は「翁長知事の強く、熱い思いをしっかりと受け止めた上で、埋め立て承認処分の権限を有する者として適正に判断した」と述べた。

 8月8日に翁長さんが亡くなってから23日目に、県が踏み切った「最後の切り札」。会見で謝花副知事は、7月の記者会見で翁長さんが座っていた席と同じ中央に腰掛けた。集まった大勢の報道陣に一礼した後、ひと口水を含ませて撤回理由を話し始めると、環境保全対策に問題があることなどを述べた上で、翁長さんの思いを引き継ぐ決意を強調した。

 記者の質問には謝花副知事がほぼ一人で答え、職員に確認したり、一瞬考え込んだりする場面もあった。それでも、手元に置いた紙に目を落とし、発言の前にひと呼吸おくとすぐに顔を上げて記者を見据え、落ち着いた口調で対応した。

 撤回を成し遂げたことへの気持ちを問われると、「翁長知事の思いに応えることができたのではないか」と語った謝花副知事。同時に時期の妥当性や知事選への影響などの質問には「行政手続き」「行政の原理」という言葉を10回近く繰り返し、撤回はあくまで行政としての判断で適切との姿勢を崩さなかった。

 富川副知事も「政治的判断は一切ない。あくまでも客観的なデータを基に判断した」と強調した。