平和の尊さ学び合う 宮崎日向市と浦添の中学生 疎開体験者が講話


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疎開体験者から当時の体験などを聞き、平和について語り合った浦添市と日向市の中学生ら=8月22日、浦添市中央公民館

 【浦添】戦時中、沖縄県の浦添国民学校の学童たちの疎開先だった宮崎県日向市と浦添市内の中学生による平和交流会が8月22日、浦添市中央公民館で開かれた。学童疎開体験者2人も参加し、浦添と日向の生徒たちに疎開体験を語った。生徒たちからは「家族を失い、苦労して生きてきた人の話を聞き、平和が大切だと改めて感じた」などの声が上がった。

 交流会は、浦添市が次世代に戦争体験を継承することを目的に1996年から実施している「浦添市中学生平和交流事業」の一環。日向市から7人、浦添市から10人が参加した。

 両市の生徒たちは2グループに分かれて、疎開体験者の話に耳を傾けた。きょうだい3人で10歳の時に疎開した新城啓重さん(82)=中城村=は「疎開先から戻って家族に会うのを楽しみにしていたが、防衛隊だった父親や学徒隊だった姉が亡くなっていた。天国から地獄に突き落とされた気分だった」と振り返った。

 新城さんは「家族で一緒に生活できることが一番の幸せで、平和だ。戦争は絶対にやってはいけないという強い気持ちを持ち続けてほしい」と強調した。

 港川中学校2年の城間辰志さん(14)は「戦争で疎開した人たちの話を初めて聞いた。すごい苦労をして生きてきた話を聞いて、平和の大切さが改めて分かった」と語った。

 日向市の富島中3年の神﨑夏里さん(15)は「新城さんは『笑いのある生活が平和だ』と話していたが、本当にそうだと思った。家族で楽しく生活できる日常を大切にしたい」と話した。