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安室さん、空手で芸能素地 デビュー前に道場で鍛錬


この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵
休憩中に空手道場の仲間と昼食を取る安室奈美恵さん =1992年2月(松田広和さん提供)

 平成を代表するスーパースター、安室奈美恵の芸能の素地は、少女時代に鍛錬を重ねた沖縄空手によって築かれたのかもしれない―。安室さんはデビュー前の中学時代、沖縄アクターズスクール内で結成したスーパーモンキーズのメンバーらと那覇市曙の沖縄小林流妙武館の道場へ毎日通い心身を鍛えた。2年間にわたり少女らを指導した同館の松田芳正総本部館長(78)は当時の安室さんについて、礼儀正しく稽古熱心だったと振り返り、「控えめな性格だが、内に秘めた情熱には目を見張るものがあった」と語る。

 安室さんが空手を始めたきっかけは、デビュー前に沖縄らしい特技を身に付けさせたい、というアクターズスクールのマキノ正幸代表の強い思いからだった。安室さんらは中学生のときの2年間、学業とダンスレッスンの合間をぬって毎朝7時から道場で個別指導を受け、夜は週3回一般と交じって鍛錬を重ねた。

「平成の歌姫、奈美恵ちゃんにお疲れ様と伝えたい」と話す松田芳正館長=13日、那覇市

 超多忙なスケジュールにもかかわらず、練習熱心な少女らはめきめきと上達した。「メジャーデビューというぶれない目標が原動力になっていたのだろう」。松田館長はまだあどけなさが残る少女らに、プロ意識と根性を見たという。

 松田館長は、技以外にも友愛と奉仕の心、忍耐と継続することの大切さなど、沖縄空手の精神を何度も繰り返し伝えたといい、「道場での経験が少しでも芸能生活に生かされていたのなら本望だ」と話した。

 沖縄を離れ国民の人気者となった後も、安室さんたちの活躍を陰ながら見守ってきた。「奈美恵ちゃん、あなたはこれまで数え切れないほどのごほうびを、ファンに与えてきた。これからは“自由”というごほうびを、頑張った自分のために目いっぱい与えてあげてね」―。松田館長は安室さんの新たな門出にエールを送った。
 (当銘千絵)