SNS、政策よりも中傷拡散 沖縄県知事選 一般投稿者「落選運動」に利用


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 琉球新報社は13日に沖縄県知事選が告示されたことに伴い、候補者のツイッター(短文投稿サイト)でのつぶやきやその拡散状況などについて分析を始めた。ツイッター上での検索サービスを手掛けるスペクティ(東京、村上建治郎社長)の協力を得て実施した。主要候補の佐喜真淳、玉城デニー両氏とも自身の政策や活動について投稿しているが、本紙が確認できた両氏の名前を含む一般人の投稿(約20万件)は候補者への中傷などが多く、政策論争は深まっていない。「普天間」「辺野古」という言葉については玉城氏が一回言及しただけで、佐喜真氏の投稿には一度も出てこなかった。

 候補者が情報発信をしやすくなり、有権者が政治参加しやすくなることを目的にインターネット選挙運動が2013年に解禁されたが、今回の知事選では、インターネットが「落選運動」に使われている実態が明らかになった。

 告示日前後で候補者や一般人のツイートがどう変化したかを見るため、今回は統一地方選投開票日の9月9日から告示日の13日までの5日間のツイートを分析した。期間中、佐喜真氏は36件、玉城氏は40件投稿した。自身の政策や活動、動画の拡散を呼び掛ける投稿が多かった。

 投稿がどれだけ広がっているかを見るリツイート(再投稿)やリプライ(返信)は佐喜真氏が6746件、玉城氏は8968件だった。告示日は報道が多数されたこともあり、リツイートも飛躍的に増えた。佐喜真氏は同じ人が複数回リツイートするなど組織的な拡散が見て取れたが、玉城氏は個人の拡散が目立った。一般ユーザーの投稿のうち、佐喜真氏、玉城氏の名前を含むものを分析すると、約9割が玉城氏に否定的な意見だった。玉城氏に対するネガティブキャンペーンが精力的に行われていることが浮き彫りとなった。

 期間中、渡口初美氏の投稿は12件、兼島俊氏は2件だった。