「努力すれば夢かなう」 舞台朗読家 熊澤さん、半生語る


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熊澤南水さん

 第89期新報女性サロンの第3回講座が26日、那覇市の琉球新報ホールで開かれ、舞台朗読家の熊澤南水さんが「現在(いま)を輝いて」と題して講演した。青森県津軽での貧しい幼少期や東京での子育てを経て、舞台朗読家として飛躍するまでの半生を語り「思いに向かって努力すれば、必ず夢はかなう」と訴えた。

 熊澤さんは1941年、東京生まれ。実業家だった父親の死後、6歳で母親の実家がある青森県津軽地方に移住し、実家の物置を住居に貧しい暮らしを送った。その後、知人の養子となり再び東京へ。学校で津軽のなまりを笑われたのをきっかけに「将来、言葉で生きていこう」と決めた。結婚し育児が一段落したのを機に、カルチャースクールの朗読講座でプロを目指して朗読を学ぶようになった。自らが開催した朗読会の評判が口コミで広まり、朗読家としての地位を確立した。熊澤さんは「あのとき、言葉をからかわれる経験がなければ、今の熊澤南水は生まれなかった。前を向き、一歩一歩努力したことが報われた」と強調した。

熊澤南水さんの半生など、講演に耳を傾ける会員ら=26日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 講演後半では、樋口一葉の小説「十三夜」の朗読を披露した。苦境に置かれた女性の葛藤を情感たっぷりに語り、会場を魅了した。