除湿器から飲み水、新技術開発へ 琉球大と企業などのグループ、アジアで活用目指す


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この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
(左から)アルパカ・ラボの棚原生磨代表、琉球大理学部の中川鉄水助教、共栄コントロールズの米倉勲取締役、琉球大教育学部の福本晃造准教授=28日、同大

 琉球大、上水道設備の開発・販売などを行う共栄コントロールズ(兵庫県、巴月和利代表)、産学連携に取り組むアルパカ・ラボ(沖縄県宜野湾市、棚原生磨代表)の研究グループが、除湿器にたまった水を飲料水に活用する技術開発に取り組んでいる。

 東南アジアなどの高温多湿で安全な水の確保が難しい地域や離島などで、技術を生かしたい考え。

 共栄コントロールズの紫外線消毒の技術では、水質に影響を与えることなく水の滅菌ができ、通常殺菌のために使う次亜塩素酸が不要になる。カビや汚れがたまりやすい内部の管にも、紫外線LEDを設置して殺菌し、ノズル内も清潔に保つ。

 琉球大理学部海洋自然科学科化学系の中川鉄水助教の研究では、除湿器の水に不純物が少ないことが分かった。除湿水に含まれる主な不純物は、日本の水道水の約120分の1だという。中川氏は「川の水などよりも、元々不純物の少ない除湿器の水を浄水するほうがコストも抑えられる」と話す。湿度約60%から1日で10リットルの飲料水が生成でき、雨天時だと20リットルの水が取れる。水道管がいらず、電気で水を作り出すことができる。

 グループは現在、琉大で実証実験をしている。居住地で使うことを想定し、人の出入りがあるリフレッシュルームに機器を設置している。今後、共栄コントロールズのミャンマー、台湾駐在スタッフと協力し、現地でも実験を行う予定だ。

 琉大教育学部の福本晃造准教授は「湿度は状況や季節によって変化する。誰をターゲットにして一定量の水を安定して供給できるかが今後の課題だ」と述べた。