「私の訴え浸透せず」 佐喜真さん、深々と頭下げ 沖縄県知事選


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知事選で落選が決まり、敗戦の弁を述べる佐喜真淳さん(左)と妻のこず恵さん=30日夜、那覇市のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

 投票箱が閉まった30日午後8時ごろ、報道各社が玉城デニーさんの優勢を伝えると、沖縄県那覇市内のホテルで選挙の行方を見守っていた佐喜真淳さんの陣営は、一気に静まりかえった。会場に響くのはカメラのシャッター音だけ。陣営幹部はテレビの速報を険しい顔で見詰めた。午後9時35分ごろ、会場に現れた佐喜真さんは集まった支持者に「結果が出せなかったことは、私の不徳の致すところだ」と深々と頭を下げた。

 宜野湾市長を辞職し、退路を断って臨んだ今回の県知事選。選挙戦を通して有権者に「(政府との)対話を通して結果を出す」と熱く語り掛けた。

 一方、政府と友好関係を重視しつつ、争点となった米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設問題は「普天間の返還が原点だ」として、賛否を明らかにしなかった。

 市長在任中には普天間第二小に米軍ヘリの窓が落下する事故が起きるなど、普天間飛行場の危険性を痛感している。だが、県民の暮らしの底上げこそ沖縄の問題を解決する最優先の道だと、信念を持って訴えた。

 知事選でも市長時代の公約「医療費・給食費・保育料無償化」を訴え、施策を次々と打ち出したが、玉城さんに一歩及ばなかった。

 記者団に辺野古新基地建設の賛否を明らかにしなかった影響を問われると、「分析しながら考えたい。いろんな考え方があると思うし、私の訴えが浸透しなかった」と語った。

 あいさつ後、司会が「佐喜真淳、54歳。まだまだある。頑張ろう」と声を掛けると会場は拍手で包まれた。佐喜真さんは陣営関係者と握手をして約12分で会場を後にした。