「新基地反対が民意」 玉城知事、安倍首相と初会談 政府、移設推進変えず


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 【東京】玉城デニー知事は12日、首相官邸で安倍晋三首相や菅義偉官房長官と知事就任後初めて会談した。玉城知事は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設が、知事選を通じて「認められないという民意が改めて示された」と建設に反対することを伝えた。これに対し安倍首相は「(移設を)進めてきた政府の立場は変わらない」と話し、新基地建設を巡る見解は平行線をたどった。菅長官は会談で、辺野古移設と在沖米海兵隊のグアム移転が「リンクしている」との見解を伝えた。

 玉城知事は知事選で支援を受けた野党各党の幹部と会談した場で、新基地建設阻止に向けて早ければ11月にも訪米したい意向を明らかにした。県のワシントン事務所を通じて日程を調整する。玉城知事は米国議会の中間選挙などの日程もにらみながら、初訪米の時期を判断するとみられる。

 冒頭を除いて非公開で行われた安倍首相との会談は、予定した15分を超え30分間行われた。安倍首相の退席後は菅長官と杉田和博官房副長官も加わり、会談を続けた。

 会談の冒頭で玉城知事は「私は日米安保体制を認める立場だ」とした上で、過重な基地負担の軽減や日米地位協定の抜本的な見直し、騒音や事件事故など米軍基地から発生する諸問題の解決を求めた。普天間飛行場の5年以内の運用停止は「一日も早く実現すべき課題だ」とし、普天間基地の負担軽減推進会議の開催や米側との協議を求めた。

 一括交付金を含む沖縄関係予算の増額も要望した。

 安倍首相は「戦後70年たった今なお米軍基地の多くが沖縄に集中し、大きな負担を担う現状は到底是認できない」と述べ「県民の気持ちに寄り添いながら、基地負担軽減に向け一つ一つ成果を出す」と述べた。

 会談後、記者団の取材に応じた玉城知事によると、安倍首相は、辺野古移設を進める姿勢を維持した上で、沖縄振興や子どもの貧困問題など「認識が共通するものについては協力していきたい」と話した。

 玉城知事は政府が辺野古移設を維持する姿勢を示したことを踏まえ「対話しないことと対話を閉ざすことは違う。常に対話を呼び掛け、県民の願いを聞くよう言い続ける」と強調した。

 玉城知事は就任あいさつで外務、防衛などの省庁も回った。