1月普天間ヘリ不時着 自衛官派遣実現せず 米側延期続く


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 1月に県内で相次いだ米軍普天間飛行場所属のAH1ヘリのトラブルに関し、防衛省が安全確保策として実施するとしていた自衛官の派遣が8カ月以上実現していない。岩屋毅防衛相は12日の会見で対応を問われ「急ぐようにと私から(事務方に)指示した」と説明したが、これまで米側に拒まれうやむやにされてきた面は否めない。実現したとしても時間がたちすぎており、効果的な再発防止につながるのか疑問符も付く。

 県内では今年1月、読谷村や渡名喜村で普天間所属のAH1攻撃ヘリの不時着が相次いだ。これを受け当時の小野寺五典防衛相は1月30日、自衛官を派遣して機体を点検し整備の情報を収集すると表明した。2月1日に派遣予定だったが、直前に米軍から「さらなる準備が必要」との申し出があり延期に。以来8カ月以上動きがない。

 当時は普天間飛行場の移設問題を左右する名護市長選(2月4日投開票)を控えた時期で、政府与党は米軍機のトラブルによる影響に神経をとがらせていた。米側への従来通りの抗議や再発防止を求めるだけの対応に批判が集まる中、政府が打ち出したのが自衛官派遣だったが、翁長雄志知事(当時)は「ただのパフォーマンスにしか思えない」と疑問を呈していた。市長選後も「調整中」(防衛省)の状態は続き、実現する見通しは立っていない。

 協議が難航する背景には、米軍の同意なしに機体の検証や差し押さえ、基地立ち入りができないことなどを定めた日米地位協定がある。昨年10月、東村高江の民間地に普天間所属のCH53ヘリが不時着・炎上した事故が発生した際も、防衛省は現場に自衛官を派遣したが、米軍の事故調査に直接参加できたわけではなく、機体の確認作業などにとどまった。