情報開示と連帯が鍵 環境ネット20周年シンポ 識者ら提言


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沖縄の環境問題について真剣な表情で耳を傾ける参加者ら=27日、宜野湾市の沖縄国際大学

 沖縄環境ネットワークの結成20周年を記念するシンポジウムが27日、宜野湾市の沖縄国際大学であり、識者らが平和、自治、人権、米軍基地の四つの観点から沖縄の環境問題を多角的に検証した。

 調査報道ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんは「これまでに突き止めてきた米軍基地に起因する沖縄の深刻な環境汚染は氷山の一角で、政府や県民にはその脅威や情報が十分に伝わっていない」と指摘。「現状を変えるのは容易ではないが、市民やNGOが連携し情熱と忍耐を持って行動すれば成し遂げられる」と訴えた。

 ミッチェルさんは米情報公開法(FOIA)で入手した米軍資料から、さまざまな環境汚染の実態を明らかにしてきた。最近では2016年度の海兵隊の内部資料から、発がん性が指摘されている有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)で普天間飛行場が汚染され、その有害物質が基地外へ流出していることを発表した。

ジョン・ミッチェルさん

 ミッチェルさんは「健康被害は人権問題だ」と指摘し、基地の使用履歴を開示するなど透明性が求められているとした。

 「基地環境問題にどう立ち向かうか」をテーマに講演した沖縄大名誉教授の桜井国俊さんは日米地位協定の改定以外に、市民や環境NGOが行政を厳しく監視することや情報公開制度を駆使する必要性などを挙げた。桜井さんは「連帯」と「連携」が鍵になると強調し、「同じような基地被害に苦しむ他国と手を取り合うこと、市民が行政と連携することが大事だ」と語った。