本部町、港使用を不受理 辺野古埋め立ての土砂搬入に影響か


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8月の工事の中断前、トラックが並び、次々と船に土砂が搬入された本部港塩川地区=7月26日午前11時半ごろ(小型無人機で撮影)

 【本部】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、本部港塩川地区で埋め立てに使用する土砂などを搬出していた業者による護岸の使用許可申請を本部町は1日、受理しなかった。台風で護岸が破損しているため、新規の船の受け入れができないことが理由。同港管理者の県と協議し判断した。辺野古への海上からの土砂搬出ができず、新基地建設工事に伴う埋め立ての進捗(しんちょく)に、大きな影響を与える可能性がある。

 平和市民連絡会の北上田毅氏は沖縄防衛局の埋め立て承認願書で、辺野古側の埋め立てに使う土砂は本部町と国頭村から海上搬出することが定められていることを指摘。「国頭村には土砂搬出が可能な港はなく、実質的に塩川地区のみが搬出可能な港だ。そこが使えないと埋め立てはできない」と強調した。

 町によると、護岸が破損して以後、新規の船の受け入れを一切受け付けていない。復旧後の受け入れについて町は「港の状況を踏まえ、県と協議の上、判断したい」とした。復旧の時期は未定。

 本部港は県が管理する港だが、本部町が岸壁と荷さばき地の使用許可の事務を受託している。業者は2017年10月に使用を許可され、同年12月から辺野古へ石材を搬出し、今年7月下旬からは埋め立てに用いるとみられる土砂を搬出していた。しかし岸壁の許可が9月末で切れたため今回、再申請した。

 県によると、9月に沖縄本島地方に接近した台風24号の影響で、同地区の六つある岸壁のうち三つの岸壁が使えない状態になった。被災した岸壁を使用することで被害が拡大することを懸念し、申請を受理しなかった。県の担当者は取材に対し「辺野古関連であってもなくても、物理的にこれ以上受け入れられない状態だ」と説明した。

 業者は、県の埋め立て承認撤回を受け9月上旬、塩川地区からいったん搬出した土砂を再び同地区に荷揚げさせていた。

 (塚崎昇平)