「複合」交付金を検討 防衛省・内閣府、沖縄市へ


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(仮称)沖縄市多目的アリーナの完成予定図(沖縄市提供)

 【東京】沖縄市が建設を進めている市多目的アリーナ建設工事に関連し、政府は4日までに、防衛省が交付を決めた米軍再編推進事業交付金に加え、内閣府が所管する沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)からも補助する方向で調整している。防衛省と内閣府の予算を組み合わせて補助する方式は初めてとみられる。実現すれば大型事業に取り組む自治体の負担軽減につながる一方、基地問題への自治体の対応と沖縄関係予算の交付の一体化が進む懸念もあり、議論となりそうだ。

基地と連結懸念も

 1万人の収容が可能な多目的アリーナの総事業費は146億8千万円。防衛省は米軍再編事業の進展に応じて支給される「再編推進事業補助金」の適用を決め、本年度は約23億円が交付されている。同補助金は基地負担の受け入れが条件。補助率が9割あることが特徴だが「公共用の施設の整備」に用途が限られる。アリーナ施設のうち商業施設などの部分は補助の対象外だった。事業費に占める補助額の割合は6割程度にとどまっていた。

 一方、補助率8割の一括交付金は「沖縄振興に資する」ものが対象で、首長の政治姿勢とは本来関係ない。これまでも直売所やレストランを含む施設整備に活用されてきた。防衛省の補助金と一括交付金を組み合わせることができれば、アリーナの整備事業費に占める補助金の割合を高められる。

 市は今後も調整を進め、事業の進捗(しんちょく)状況も勘案し、来年度予算での一括交付金を含んだ事業費の計上を目指す。補助率の9割を目指し、使えるメニューの精査を進める考えだ。

 一方、宮腰光寛沖縄担当相は同日、那覇空港で記者団に対し、米軍再編関連自治体向けに新たな運用方式を導入する方針を固めたとする情報について「そういう事実はない」と述べた。