知事、官房長官と会談 政府、新基地工事止めず 県との集中協議には合意 県、係争委手続きを伝達


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米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る菅官房長官との会談を終え、取材に応じる玉城デニー知事(中央)=6日午後、首相官邸

 【東京】上京中の玉城デニー知事は6日、首相官邸で菅義偉官房長官と会談し、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について約1カ月間集中協議を行うことで合意した。一方で菅長官は協議を行う間も工事を進める考えを示した。玉城知事も国交相の執行停止決定を不服だとして行う国地方係争処理委員会への申し立て手続きを進めることを伝えた。 

非公開で行われた会談の後、玉城知事が記者団に明らかにした。

 協議は、県側は謝花喜一郎副知事、政府側は杉田和博官房副長官を担当者とし、集中して行う。

 玉城知事と菅長官の会談は先月12日に続き知事就任後2回目で、県による辺野古の埋め立て承認撤回に対する国土交通相の執行停止が決まって以降は初めて。安倍晋三首相との面会も求めていたが、実現しなかった。

 玉城知事によると、この日、基地問題については、玉城知事と菅長官の2人だけで話し合った。

 会談で玉城知事は「このまま司法に進むのではなく、対話によって何らかの策を講じることができるのではないか」と述べ、協議を提案した。「せめて1カ月間、話をする時間と場を設けてほしい」と求めた。協議の間、工事を中止することも要請した。

 これに対し、菅長官は協議の場を設けることには賛同したが「それでも今の工事は止めずに進める」と述べ、辺野古新基地建設を進める方針を重ねて示したという。

 玉城知事は今後について「忌憚(きたん)のない意見交換、協議をする」と強調した。県は集中協議の行方を見て、月末に期限を迎える国地方係争委への申し立てを実施する方針だ。

 辺野古の新基地建設を巡り国交相が県による埋め立て承認撤回の効力を一時停止したことを受け、防衛省は1日に建設工事を再開した。

 名護市辺野古の新基地建設を巡る国と県の集中協議は翁長県政時代の2015年に続き2回目。前回は国側が工事を止めて行われた。その協議は決裂し、翁長雄志前知事が埋め立て承認を取り消し、その後法廷闘争に発展した経緯がある。

 玉城知事はまた、関係省庁を回り沖縄振興予算の満額確保や一括交付金の増額、税制改正を要請した。