[知事訪米]玉城デニー知事が最初の訪問地にNYを選んだ理由


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中満泉国連事務次長との面談後、記者団の取材に応える玉城デニー知事=12日、米ニューヨークの国連本部前

<解説>
 名護市辺野古への新基地建設阻止を訴える玉城デニー知事は就任1カ月余の早さで訪米要請行動に臨んだ。歴代の知事が何度も訪れ、分厚い壁に阻まれた政治の街ワシントンより先に、文化や経済、多様性の街ニューヨークを最初の訪問地に選んだ。ニューヨーク大での講演や国連事務次長との面談、メディア取材に応じるなど、これまでの県政にない新しい日程を精力的にこなし、ニューヨークでの2日間の日程を終えた。

 一方、訪米中の12日に米軍のFA18戦闘攻撃機が墜落し「常に日米安保のはざまに置かれている沖縄」(玉城知事)の現実も改めて浮き彫りになった。辺野古の新基地建設が強行されている中、訪米を急いだのは、県知事選を通して米メディアに大きく取り上げられた「米軍人の父、沖縄人の母」という出自への注目度や、朝鮮半島情勢の変化という国際情勢を足掛かりに、米国で変化の波を早く起こしたいという狙いがある。

 13日にワシントンへ移動し、米政府や連邦議会の関係者、有識者らと意見交換を予定する。「辺野古は唯一の解決策」と思考停止した政治の街にも、変化の種をまくことができるか、注目される。
 (座波幸代)