米軍いまだ認めず 宜野湾の保育園・部品落下1年 基地内未調査、立件に壁


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落下と同時刻に宜野湾市野嵩上空を飛行する大型輸送ヘリCH53Eの連続写真=2017年12月7日、宜野湾市野嵩(県が設置するカメラで撮影)

 【宜野湾】沖縄県宜野湾市野嵩の緑ヶ丘保育園に米軍機の部品カバーが落下した事故から、7日で1年が経過した。米軍が所属機からの落下を認めず調査を打ち切っているため、県警は基地内の立ち入り調査などができず、立件を困難視している。園の保護者らでつくる「チーム緑ヶ丘」は7日、事故の原因究明や園上空の飛行禁止を求めるため、事故後2回目となる東京要請行動を実施する。

 事故当時、県が市野嵩に設置しているカメラと騒音測定局で、衝撃音と米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリCH53Eが飛行する画像が確認された。しかし米軍はCH53の部品であることを認めた一方で、落下との関連は否定した。

 捜査関係者は取材に対し「現状で日本の法律に触れるような状況は確認されておらず、事実解明はできていない」と説明。一方で、岩屋毅防衛相は4日の会見で「米軍の協力を得ながら警察が調査中であると聞いている。早く結論が出ることを期待したい」とした。

 園上空では事故後も米軍普天間飛行場の所属機などが連日飛び交っており、園屋上で琉球大学工学部の渡嘉敷健准教授が11月から実施している騒音測定では、100デシベルを超える騒音も複数回測定されている。

 チーム緑ヶ丘は7日、防衛省と外務省、内閣府、警視庁の担当者と面談する。神谷武宏園長は「当たり前のことを求めているだけなのに、1年前と何も変わらない。米軍の飛行や騒音はむしろひどくなっている。沖縄は今も米国の占領地のように思えてならない」と憤る。松川正則宜野湾市長は6日、本紙の取材に対し「県警による調査の報告を要請しているが、現状で返事はない。また確認したい」と回答。米軍に対しては「飛行ルートの順守を常に発信していく」と語った。

◆記録や目撃証言多数

 宜野湾市の緑ヶ丘保育園への米軍部品落下は原因究明にはほど遠く、普天間飛行場を離着陸するヘリやオスプレイが園児の上空を飛び交う状況は変わっていない。米軍は事故への関与を否定しているが、県の録音記録や目撃証言など部品落下の事実を示す証拠は多い。

 落下した物体には「REMOVE BEFORE FLIGHT」(飛行前に外せ)と記載されていた。米軍はCH53の部品だと認めている。落下と同時刻にCH53E1機が普天間飛行場を離陸し、保育園方面へ飛行している。

 保育士や近隣住民の証言によると、ヘリの通過と同じタイミングで「ドン」という落下音がした。「屋根から跳ね上がる物体を見た」との証言もある。県は保育園から約50メートルの位置にある公民館に騒音測定機とカメラを設置しており、CH53Eが通過する様子と衝撃音が記録されていた。

 県は本来の目的は騒音測定だとして、詳細な解析や専門家への相談はしていない。県環境保全課から提供を受けた県警は「精査したが、筒が落下したかどうかや刑罰法令に該当するかどうかは確認できなかった」としている。