相次ぐ米軍機墜落 外来機 危険度高まる 沖縄県内、基地負担軽減と逆行


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 山口県岩国基地所属で米海兵隊のFA18戦闘攻撃機とKC130空中給油機が6日未明、訓練中に接触・墜落事故を起こした。米海軍のFA18は11月に南大東島沖で墜落したばかりだ。米軍嘉手納基地や普天間飛行場にも度々飛来している。現在、普天間飛行場には岩国基地所属のF35Bステルス戦闘機が飛来し、伊江島補助飛行場に完成した新訓練施設での訓練を展開する。基地負担軽減に逆行し、全体が広大な演習場と化している県内も事故の危険性に常にさらされている。

■騒音激化

 普天間飛行場にはF35B6機が飛来しており、周辺地域に100デシベルを超える激しい騒音をまき散らしている。11月以降に外来機の飛来が相次ぎ、同22日には松川正則宜野湾市長が沖縄防衛局に外来機の飛来禁止を要請していた。

 松川市長は6日「しっかりした情報を取ってから」と接触事故についての言及は避けたが、「直接防衛局に要請したが、状況が好転しない。むしろマイナスだ。来週には上京するので、その時に(外来機の飛来禁止)にも触れたい」と不快感を示した。

 嘉手納基地には今年3月と11月に南大東島沖で墜落した機体と同じ米海軍のFA18が15機飛来していた。同時期にF35A戦闘機も飛来しており、周辺3市町の2017年度苦情件数は過去最多に上った。嘉手納基地を抱える3市町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は外来機による騒音激化や苦情を問題視し、11月には米軍との意見交換を実施し、周辺住民の負担軽減を求めた。

 三連協会長の桑江朝千夫沖縄市長は、事故を受け「こうした(米軍機の)事故が何度もあってはならない」と眉をひそめる。3月には、同型機が県内に飛来していたことにも触れ「県内でも同様の空中給油訓練をやっていたのかを確認したい。最低限、安全体制が整った上で行動してほしい」と原因究明や再発防止策の公表などを求めた。

■見えぬ実態

 11月のFA18墜落で、沖縄が日本に復帰してから県内で発生した墜落は50件に上った。広大な訓練空域・海域を背景に事故は絶えない。

 沖縄防衛局の目視調査によると、2017年度、県外から飛来したFA18の飛行回数は嘉手納基地で1759回、普天間飛行場で50回に上る。KC130は「沖縄の負担軽減」として14年度、全機が普天間飛行場から岩国基地へ移駐されたが、その後も県内に飛来している。

 県の金城典和基地対策課長は「訓練の詳細は一切知らされていないが、KC130は空中給油を目的とする機体なので、県内でも空中給油訓練を実施している可能性は想定される」と説明した。

 基地の運用について県や市町村に詳細な情報は知らされない。金城氏は「事故が起こって初めて分かる運用の仕方もある」と語る。今回の衝突事故で深夜に空中給油訓練をしていたことが明らかになった。

 夜間の空中給油訓練は特に高度な技術を要するといわれる。16年12月に普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部に墜落した際にも実施しており、事故発生で訓練内容が明るみに出た。

 (明真南斗、長嶺真輝、上江洲真梨子)